第183話 黄金気を修得した新米領主の私はガリポリ領主館の自分の執務室で初めて落ち着いて仕事をする
「えっと、内部通信(気)で繋げてみようか」
「ガリポリ軍司令部にまだいるのなら無駄です。内部通信(気)を応用した精神攻撃というものがあり、司令部では安全のため結界が張ってあり使用できません。内部通信(気)というのはあまり我が国では好まれていない技術なのです。便利であったので最初の頃は流行りましたが今は廃りましたね。いつでもどこでも連絡が入ってくるのです。しんどい。公私の区別がまるでつかないという理由のせいですね」
エクシード王国でエクシード十剣に繋げたら皆びっくりしてたし、エミリーに至っては天啓とまで呼んでくれたのに流行り廃りがあるとは…
「とっ、とりあえず繋げてみようかな、軍司令部に居るのか居ないのかだけでも分かるし」
「たぶん、無駄だと思いますよ。今日び、知らない人間から繋がれても普通の人間はでません。使ってるのは家族の間の連絡ぐらいです」
あれっ、今までアクィナスとは普通に使ってたような…
私の感情が顔に出たのだろうかアクィナスがなぜか顔を赤らめ視線を逸らして答えてきた。
「私は真澄様のことを家族以上に信奉しておりますので」
そういう親密な間柄で使う技術だったのか…私が以前イヴァンに繋げた時、イヴァンの奴スルーしたな。不快だったら言ってくれたら止めたのに。気の技術が発達したが故の弊害だな、これは。ブロック対応の技術とか開発すればいいのに。いや、それだと、なぜブロックするんだと揉める原因になるか…
とりあえず、彼はそこそこ強いだろうから心配はいらないだろう。イヴァンの行方を探すためにまた、ガリポリ軍に向かう用向きができたことで良しとするか。
「まあ、イヴァン君のことは後で時間ができたら探してみようか。今日はこの執務室でいろいろ勉強したりして過ごそうかな。ずっとこの部屋にいる予定だから相談ごとがある人は来ていいよって通達しておいて」
私がそう言うとアクィナスは了承し、各部署にその旨を伝えるべく領主執務室を出て行った。
◇◆◇
そうは言ってなかなか最高権力者の部屋のドアを叩く度胸のある人間はいなかった。最初は真面目に勉強していたが徐々に退屈になり部屋の中で黄金気の操作の鍛錬をしていた。この頃は特にピンチにならなくてもナチュラルに白気と黄金気の展開ができるようになってきた。
こうなってくるとさらに欲が出てくる。祥君や黒佐賀はもっと強い黒気や黄金気を纏っていた。出力ももっと強いように思えた。気の展開はレベルとは関係ない気がする。ということは私にも彼らの練度で白気や黄金気を使える可能性があるということだ。
私は室内で色々、試行錯誤してみる。
領主の執務室から漏れ出るその気の剣呑さに怖気づいたせいで私を訪ねる職員はさらに少なくなったという…
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もできたらガンバリたいです。
ブックマーク、感想、評価、メッセージなどあれば何でもお待ちしております。
皆様のポチっとが私の創作のぶっ飛びマンホール(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。
活動報告にとあるなろう底辺作家の落選風景っていう小説を載せてみたのでよろしければ読んでみてください。(11月3日の活動報告です)
けっこう筆が滑って本編より熱く書けました(笑)