第176 黄金気を修得した新米領主の私はネブラスカ一等執政官から報酬をもらう
ガリポリ領主館へ続く長い坂を独り歩く。下りて来る時は誰かと一緒の場合が多いが登るときは独りの方が多い気がする。とりあえず、単価の引き下げというネブラスカの要求には一定の道筋がついたが、同時にガリポリ領冒険者組合にへの新たな仕事の発注(しかも安全なものに限る)という難問も宿題として持たされた。ネブラスカはどんな反応を示すだろうか。いくつか予想されるネブラスカの反応をシュミレーションしながら暗い気持ちで坂を上るとあっという間にガリポリ領主館に着いてしまった。
受付の男性に挨拶し、そのままネブラスカのいる執務室に直行。
「お疲れ様です、春日井領主。首尾はいかがでしたかな?」
ネブラスカはいつものように立ち上がり私を出迎えさっそく報告を聞こうとする。ぼかして話をしても無駄だ。どうせ、すぐに調べられてしまう。私はありのまま起きたことを話した。
「なるほど、ガリポリ領冒険者組合に発注する新たな仕事ですか…すぐに用意はできませんが企画室に検討させておきましょう。ご苦労様でした、春日井領主」
予想外にネブラスカからの反撃はなく、しかも検討までしてくれるという。これは成功と考えていいのか!?
しかしそれなら、元々、ガリポリ領主館の仕事に参加しネブラスカとの新密度を上げようとして引き受けた仕事だったのだ彼の新密度はわずかにでも上がったのだろうか。NPCのくせにまるで分からない。
じっとネブラスカを見つめていたのが気になったのか、ネブラスカの方から話を振ってきた。
「今日はこれからどうなさるおつもりですか?」
「いや、特に予定はないけど」
「そうですか、それでしたらガリポリ領・領主軍の司令官に会って頂きたいのですか」
珍しいネブラスカからの自発的な依頼だ。しかも領主軍の司令官ってまた要人じゃないか。これはやはり、単価の引き下げ交渉の件が評価されたのか。私は二つ返事で了承すると1時間後に軍司令部に2人で訪問、会食ということで話はまとまった。1時間もあればアクィナスとイヴァンも呼び戻せる。彼女達にも同席してもらおう。
◇◆◇
ネブラスカの執務室を出た私はこれまであまり立ち入ることのなかった自分の執務室で時間をつぶした。ガリポリ領主館の組織図や人員、ガリポリ領の地図などを読んでいるうちにあっという間に1時間が経った。気がつけばいつの間にかアクィナスとイヴァンが帰ってきておりこれからガリポリ領・領主軍司令官との会食だというと2人とも慌てていた。2人にも出席してもらうのだが…
きっかり一時間後、領主執務室のドアにノックがあり係りの者が呼びに来た。呼びにきたのも軍人だった。そういえば会食だというのにフォーマルな服装をしていないが大丈夫だろうか? とはいえ、今さら慌てても仕方がないか。
1階まで下りるとネブラスカは既に準備し私を待っていた。さて、ネブラスカがわざわざ会いに行こうと提案したガリポリ領・領主軍司令官とはどんな人物なのだろうか。
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