第174話 黄金気を修得した新米領主の私はガリポリ領冒険者組合で範囲攻撃を受けて苦戦する
「思ったのですがアタック光線の形で放出しなくても直接、対象の周辺で爆発させれば同じ効果が得られると思いますが」
なるほどゼロ距離射撃ってやつか。いよいよ必殺技じみてきた。
「貯めのイメージと起爆のイメージはできているからやってやれないことは無いと思うけど…それでも貯めの時間とあいつらの元までたどりつけないって問題が残ってるよ」
「私が囮になって注意を引きつけましょうか?」
「君、防御力なさそうじゃん」
「私の戦闘方法は避けることを前提に組み立ててありますから…このような範囲攻撃には弱いのです。正直に言うとこういった大人数を相手にした戦闘経験はほとんどありません」
「そっか…やっぱり、私が地道にあいつらをひきつけ注意が私に集中したらその隙にイヴァンが切り込むしかないのかな」
私がそう決意を新たにしたとき、脳内で女性の声が再生された。
(お困りのようですね、春日井領主)
これは内部通信(気)か!? 周囲を見渡すとローザンヌが手を振っていた。
(お手伝いしましょうか? 春日井領主)
先程はアクィナスを護衛してくれるだけで十分と考えていたがこうも手詰まりだと考え直さざるをえない。どうしても遠距離攻撃が必要だ。しかし、彼女に借りを作ると返すのに凄くコストがかかりそうだが…いや、この際、個人的事情は度外視しなければダメか…
(えっとローザンヌ、遠距離攻撃とか持ってるの?)
(もちろん、持っていますわよ。わたくし、こう見えても弓の腕は天下一品なんです。目標はあの冒険者群でよろしいですか?」
私の返事も待たずローザンヌは遮蔽物から身を乗り出し、弓をつがえる。しかし、弦の先に矢はない。いや、あれは気で精製された矢か!?
「まずい、ローザンヌちゃんが敵に回った!」
「誰だ、ローザンヌちゃんを怒らせたのは!」
「あの領主まじムカつく。ローザンヌちゃんを味方に引き込みやがった」
「来るぞ! 気弓姫の一撃が!! 皆、尻を隠せ」
冒険者の恐怖の叫びがここまで聞こえる。彼女、武術もそこまでの腕だったのか!?
ローザンヌが限界まで絞られた弦を放つと気で精製された不可視の矢が冒険者達を襲う。あれは私と同じ白気か!? 白気矢は冒険者達に次々と命中し、死にはしなかったが痛みで悶絶している。特筆すべきは白気矢にホーミング機能がついており、矢は必ずお尻に刺さっている点か。どういうギミックなんだ、あの技は。
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