第168話 黄金気を修得した新米領主の私はガリポリ領冒険者組合で妙な女と出会う
「もしかしてローザンヌですか?」
アクィナスが毛色の違う感想を言ってきたお姉さんに確認を取る。どうやら、知り合いのようだ。
「ええっ、ローザンヌ・ペロポネソスですわ。アクィナス。お久しぶり」
「そうか、冒険者組合に就職したって聞いてたけど、ガリポリ領に赴任したんだ。すごい偶然だね。私はこちらの春日井領主の副官・副領主としてダーダネルス・ガリポリ領に先日赴任したんだ」
「そうだったんですか、わたくしもびっくりしましたわ。王都で出世街道を驀進するのかと思ったらこんな火薬庫にいきなり左遷。けど、16領主の春日井領主の副官なら一か八か、3:7ぐらいでまだ望みはありますわね」
「相変わらず口が悪いね。けど、私は真澄様に忠誠を誓っている身だからあんまり悪口を言わないでね」
「事実を悪口と解釈されても困りますが…戦闘狂が領地経営など前代未聞なのですが…」
ずいぶんと率直なものを言いをする女だ。けど、始めて領地の民の率直な意見を聞いたけどやっぱしこんな評判なのかな。私とイヴァンはしばらく、アクィナスとローザンヌと名乗った2人の会話を黙って眺めていたがようやく話も一段落したようだ。ローザンヌが私に挨拶をしてきた。
「初めまして春日井領主。わたくし、アクィナスと同郷のローザンヌ・ペロポネソスと申します。ガリポリ冒険者組合書記長オダリクスに御用ですか。それでは、わたくしが御案内させて頂きます」
う~ん、強引な女性だ。私は既にカウンターの男性に取り次ぎを頼んでたんだが…まあ、別段、誰が道案内でもいいのだが。私がカウンターの男性に目礼して謝るとローザンヌの案内に従った。
「わたくしとアクィナスは同郷の友人なのです。成績は彼女がいつもトップで誰も彼女についていける者がいなかったのでわたくしがたまに彼女の話し相手をすることもあったのです。もっとも話し相手といっても彼女の中では既に答えがでていてそれを確認すための作業でしかなかったようですが」
道すがらローザンヌは私達にアクィナスとの関係を説明してくれる。しかし、この女、イチイチなにか悪態をつかないと話を進められないのだろうか。アクィナスも自分の悪口が言われてるのになにも気にした様子もない。もう馴れてしまったのだろうか。
この女、絶対アクィナスが1位で自分がずっと2位だったからアクィナスを逆恨みしてるタイプだ。
「アクィナスは官僚の道を選びましたがそれは失策です。これから国の力は減衰していきます。全世界をまたに駆けるこの冒険者組合こそが世界の中心になるのです。私は手っ取り早く冒険者組合の中で出世するため、あえて火薬庫のダーダネルス領とガリポリ領を志願しました。本音を言えば進行はダーダネルス領からだと思うのでダーダネルス領の方がよかったのですが上も私が戦死する可能性などを考慮したのでしょうね。まあ、まだ新人ですしガリポリ領で我慢しておきましょう」
聞いてもいないことをペラペラしゃべってくるんだが、この女。こちらの心中を察する能力がまるでないのだろうか!?
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