第164話 黄金気を修得した新米領主の私は現実世界の第2新聞部の部室で三重野先輩に愚痴を吐く
昨日、普段より3時間ぐらい早く寝たもんだから普段より30分ほど余裕を持って起きれた。
眠い目をこすりつつシャワーを浴び、頭を完全に覚醒させるとやることが色々見えてきた。
そういえば、夜中、ゴソゴソ音が聞こえていた。おそらく、父と母も帰宅しているのだろう。
自分の朝食を作るついでに2人の分の朝食も作っておくか。
といっても食パンとソーセージを焼いたもの、スクランブルエッグと野菜を適当にちぎって作った即席のサラダ。それに粉末にお湯を入れただけのインスタントスープという手抜きメニューだが。
まあ、こういうのは気持ちが一番重要なのだ。
2人分のスクランブルエッグ、ソーセージと即席サラダにラップをかけて完成。
こんな適当なものでも準備に30分ほどかかってしまう。そして、食べるのは10分という。
洗い物は母にまかせてしまおう。
シンクに食器をつけて、出かける準備だ。
あっ、そういえばフライパンを洗うの忘れてた。母が怒るかな。まあ、いいそんなに時間もない。母にまかせよう。
さすがに早めに出ただけあって、教室には人がまばらだった。
来る途中、数学の宿題をやってないことに気づき慌てて取りかかる。
しかも1時間目だ。始業までに間に合うかな。
私はこう見えて優等生のはずなのに最近はなぜか行動が後手後手に回っている。
クラスメイトが挨拶をし、声をかけてくれるが正直うっとおしい。
集中させてくれよ。
しかし、ここで適当な返しをするとウザがられていると思われ後々面倒だ。
ある程度の話を合わせ、宿題を忘れてしまったうっかりさんを演じなければならない。
残り15分か。
やはり、どんなに疲れていてもログアウト後、家でするんだった。
進行が遅い。
もう、誰かに写させてもらおうかとも思ったが結局、それだと自分の能力はあがらない。後で苦労するだけなのだ。
最後の問いだけ適当に数字を入れると授業開始のチャイムが鳴る。
ギリギリセーフ。
ふと、気づくと先生が既に教室に入っていた。
どうも私が必死に問題を解いてる姿を見られたらしい。
バツが悪いんで苦笑いをすると先生は黒板の右端をコンコンと叩いた。
げっ、日直だ。私は慌てて号令をかけた。
昼休みになり昨日のことを聞いてもらおうと三重野先輩のところへ行く。
たぶん、第2新聞部の部室にいるだろう。
祥君や渚は頼れない、戦闘面での悩みではないからだ。
私は彼女に会うなり昨日のことをまくしたて、愚痴を聞いてもらった。
「ふ~ん、そんなことがあったんだ。けど、春日井、ここでそれを話すのはちょっと卑怯だぜ。せめてアクィナスとイヴァンのいる前で話をしないと。あの2人はお前のためだけに用意されたお前の部下なんだろう。良いも悪いも共有しないと彼ら2人まで敵に回すことになるぜ」
私の愚痴を昼休みが終わる寸前まで延々と聞いてくれた三重野先輩は最後にそうアドバイスしてくれた。
そして、さらに私を混乱させるどキツイ提案をしてきた。
「そういう注意をした上で春日井、お前が望むなら領地経営に興味を持っているプレイヤーは何人か心当たりがある。まずは人事を刷新したらどうだ。そんな堅物がいたんじゃ春日井の指示が行き届かないだろう。まず、ネブラスカ一等執政官を更迭し私の連れてきたプレイヤーでお前の周囲を固めて領地経営に入るってのはどうだ。このままじゃ、どっちが上か分からないだろう」
私は三重野先輩から出てきた思い切った改革案に度肝を抜かれた。
その通りなのだ。
確かにネブラスカ一等執政官は優秀なのだが優秀すぎてどちらが上なのか分からないことが私のストレスを増大させているのだ。
私の判断が優先されるか、ネブラスカ一等執政官の判断が優先されるのか。
このままでは1匹の獣に頭が2個あるような状態だ。
しかし、だからといってこうまで単純に人事の変更など行なっていいものなのだろうか。
私が渋面を作っていると三重野先輩が助けを出してくれた。
「まあ、いますぐの返事じゃなくてもいいさ。人事に関することなんだし、ゆっくり慎重に考えた方がいいさ。こういう選択肢をお前が持ってるってことが重要なんだ。じっくり腹心のアクィナスとイヴァンと相談して対応しなよ。けど、最後の最後で優先されるのはお前の判断なんだぞ。ふらふら迷ってる姿を人に見せたら下の人間がその判断に疑問を持つ。決めたなら突っ走ったほうがいいぞ」
最後に三重野先輩はそう言って送り出してくれた。
そうこうしている間にあっという間に昼休みが終わってしまった。
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