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第15話 レベル4がレベル484の前に立てた訳

 「やれやれ天都笠の次は春日井さんですか」


 「彼女は命がけであなたを説得しようとしていたわ! 昔の仲間だったんでしょ! クエストを受けないというのは分かるけど、どうして殺す必要まであるのよ」


 私は声に全力をのせ彼に語りかけたが清水谷君はまるで道ばたの石ころを見るかのように返してきた。その眼差しだけで呼吸が苦しくなる。けれど、どれだけレベルが離れていようと相手は同じ年齢の同じクラスメイト。生きてきた歳月は同じで現実世界で経験してきたことだってそれほど差があるはずがない。


 「彼女を殺すことでこの決闘は完結する。これは両者合意の上の殺し合いだ。邪魔だ、どけ!」


 今度は目の前にある邪魔な障害物を見るのようにこっちにむかって歩いてきた。しかし、怯んではいられない天都笠さんだって己の壁を壊して彼に挑んだのだ、私にだってできることはあるはずだ。


 「レベル5前後のプレイヤーなど小石程度の障害にもならん。目障りだと言っている、どけ!」


 ようやく私を殺すべきプレイヤーとして認識したようだ。物扱いから人間扱いしてもらえるとは出世したもんだ。だが、彼があくまで私を人間扱いしてくれるのならやりようはある。

 私は彼の目をしっかり見つめてこう返した。


 「馬鹿にしないで、レベル4だって必要なら命をかけるわよ」


 彼我の距離はわずかに三歩、彼が刀を振るえば確実に私のアバターは絶命する。


 「ところで、今の今まで私を殺さなかった理由、人狩の荒野で私を助けてくれた理由、そして、あなたがなぜ非現実ゲームの中で殺しを繰り返すのか。まとめて答えてあげましょうか」


 初めて彼が、まるでこれまで無人島にいて数十年ぶりに生きた人間に再開した時のような困惑した表情でその歩みを止めた。



読んでくださりありがとうございました。明日も12時すぎに投稿したいと考えています。



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