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ゲームで人を殺してなぜ悪い!? ~私の彼氏はPK(プレイヤーキル)職人~  作者: ネガメガネ
第3章 若い時の苦労は買ってでもしろと言うが親が貧乏だと背負わなくてもいい苦労をオートで背負い込む
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第159話 黄金気を修得した新米領主の私はガリポリ領ダンヒチの森で新型モンスター誕生の秘密を知る

 突然、現れた不審な男は予想通りRDHランダムデスハッピーだった。

 彼が現れた瞬間、イヴァンはすぐさま臨戦態勢に入り、アクィナスは腰を抜かして地面に座り込んだ。

 イヴァンに至っては凄い量の汗だ。

 せっかく状態異常を回復させたのに【恐慌状態】に陥っている。

 無理も無い、なまじ【気】が使えるものだからイヴァンもアクィナスも【神気】の影響にやられているのだろう。

 RDHランダムデスハッピーは【神気】を抑え穏やかにまとっているがそれでも【神気】だ。

 普通の人間には凄まじい存在感に見える。

 まして、我々は【気】の操者だ。

 祥が【プレイヤーキルマイスター】の称号を持って現れただけでクロサガ王国の人間が恐怖したようにわずかな【神気】の存在でも過敏に反応してしまう。


 「イヴァン、下がって。こいつはRDHランダムデスハッピー。私の兄弟子で黒佐賀師匠の弟子でもある神だよ。超回復を持ってて私でも勝てないから君が戦っても犬死にだよ」


 私がそう言うとイヴァンは素直に剣を下ろし、私の後ろに下がった。

 剣こそ下ろしたが臨戦態勢は解いておらず、神が相手といえどもその意思は挫けていない。

 全くたいした気概だ。


 「エミリー姫の加護神でもあり、この国の加護神でもある。まあ、最近のことだがな。そういきり立つな、少年。私は別に戦闘狂という訳でもない。たまたま、春日井とは巡り合わせが悪かっただけで戦闘になったが私自身は議論好きの平和な神だと自負している」


 RDHランダムデスハッピーが場の空気を入れ替えるためにフォローを入れてきた。


 「う~ん、君の場合はどこに地雷が埋まっているか分からないから平和な神とは言えないけどね」


 「はっはっはっ、流石は春日井。上手いことをいう」


 「それでモンスターに知性を持たせる実験のなれの果てとか言ってたけど、またあんたら【侵攻派】の仕業なの?」


 「まあ、そうだな。モンスターに心を与えるというのも我々の研究課題の一つだ。【憤怒と試験の神】ミドハトが熱心に研究していたな。獣族は心を持っている。ならばモンスターとて心を持っていてもおかしくない。彼らも心と知性を持つことができれば殺されるだけの存在から卒業できるのではないかという考え方だな」


 「さっき、うちの副領主も言ってたんだけどペット化できれば無害化はできるんじゃないの?」


 「そうか、そういえばダーダネルス・ガリポリの領主になったのだな春日井は。それでこんな辺境の森にモンスター退治という訳か」


 RDHランダムデスハッピーが納得したように頷く。


 「ペットモンスターというのは人と心を通わせ素晴らしい存在だが知性がない。我々が獲得させたいのは知性なのだよ。ペットモンスターや召喚モンスターというのは究極的には己の生存のために主に隷属しているだけだ。隷属という一方的な関係からは独立は生まれない。それに心というのは知性から発生するものだと我々は考えている。しかし、それでも心の発生は難しい。ミドハトの実験の結果、生存のために鎧を着たり、武器を使ったりするモンスターは何体か生み出すことはできた。しかし、心を持ったモンスターというものは一体も生み出すことができなかった」


 そこでRDHランダムデスハッピーは言葉を切り、仮面越しにも何かに耐えるような苦しい表情でその先を続けた。


 「実はこの靴履きムカデはその実験の失敗作なのだ。ある時、【憤怒と試験の神】ミドハトの実験に興味を持った私が気まぐれに彼の研究を手伝ったのだ。予想はついているだろうが知性あるものは皆、靴を履く。たくさんの足をもつ百足ムカデならたくさんの靴が必要となる。ならばより高い知性を修得し、いずれ心を得るのではないかというコンセプトで実験が進められたのだ。しかし、結果は失敗した。それでも、この靴履きムカデも生み出すのはひどく大変だったのだ。大量の巨大ムカデを準備し、一定期間放置した後、たまたま靴を履いた存在は生かし、靴を履かなかった存在は全て処分するという作業を何世代にも渡って繰り返しようやく靴を履くムカデとなったのだぞ。そこまで莫大な時間をかけて作業をしたのにミドハトのやつは突然、方向転換したのだ。曰く節足動物のような低い知性のモンスターにさらなる知性を与えるのは非効率的だ。哺乳類などもっと高い知性を持つモンスターから成功例を積み重ね段階的にレベルを落としていくという。用済みとなった彼らの存在があまりにも哀れなので自然界で育ててみようとここダンヒチの森に放してみたのだ。最終的に春日井達に狩られたというわけだがな。これも弱肉強食、自然の摂理だな」


 読んで頂きありがとうございました。明日の投稿も朝7時を予定しています。

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