第156話 黄金気を修得した新米領主の私はガリポリ領ダンヒチの森で新型モンスターと遭遇する
「おしゃべりはここまでだね。いたよ!」
私達がその場所にたどり着くと辺りは冒険者の死体で一杯だった。
そして、全長4メートルほどの強大なムカデが冒険者の死体の上を這い回って何かをしていた。
「あれは何をしてるんでしょうか?」
アクィナスが恐怖にひきつった声で尋ねる。
「靴を剥いでいるようですね」
イヴァンが嫌悪感に満ちた声で返してくる。
巨大ムカデは冒険者の死体の上を這い回り靴を剥いでいた。
周りの冒険者の死体を見てみると皆、靴が剥ぎ取られていた。
「そういう絵本を読んだことがあったが実際に見てみると気持ち悪いことこの上ないな」
巨大ムカデの足にはどうやって履いているのか分からないが冒険者達から剥ぎ取った靴をきちんと履いていた。
「靴~靴~靴~もっと欲しい~足りない~出かけられない~靴~靴~靴~靴を売ってくれ~売らなければ殺す~」
珍しい。
どうやら人語を解するタイプのモンスターようだがあれは意味を理解して言葉を発しているんだろうか。
「知能はあるみたいだけど…」
「あんなものは知能ではありません。人間の言葉を真似ているだけです」
私がそう呟くとアクィナスが打ち消すように言ってきた。
「靴~靴~靴~3足見つけた~」
突然、巨大ムカデがこちらを捕捉しその身を弾丸のように飛ばしてきた。
私は慌ててアクィナスを抱え、避ける。
イヴァンも【青気】をまとい速度を上げて回避していた。
「言葉が分かるなら説得してみようと思ったけど、アレは無理だね」
私がそう呟くとアクィナスを下ろし、私の後ろに下がらせる。
巨大ムカデは変わらず、私達の方を見ていた。
いや、どうも私達の靴を見ている様子だ。
足をウネウネと動かして生理的嫌悪感が半端ない。
私が暢気にそう感じているとイヴァンは巨大ムカデの背後から高速で接近し、【剣気】と【黒気】を纏った剣を胴体に叩き込む。
ピィギャーと巨大ムカデはかん高い叫び声を放ち全身を動かし、イヴァンを跳ね飛ばす。
しかし、傷口は大きくドクドクと盛大に体液を撒き散らす。
これはイヴァンだけで余裕かな、自分はアクィナスの護衛に徹しようかと思った瞬間、イヴァンが口と鼻から凄い勢いで血を流す。
なぜだ!?
イヴァンは攻撃を一撃たりとも浴びていないのに!?
そうか! これが毒か!?
体液が猛毒で空気感染するタイプなのか!
よくよく、死んだ冒険者達の身体を見返すとどの死体も外傷がない。
イヴァンは剣を杖代わりにしてなんとか立っているがとても戦闘続行は臨めそうにない。
早く助けねば。
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