第151話 黄金気を修得した新米領主の私は再びガリポリ領にやってきた
ガリポリ領を訪問した翌日、私は学校が終わると一目散に家に帰り制服も脱がずログインし第5階層黒佐賀王国に下りた。
今日は三重野先輩とは一緒ではない。彼女にも転移アイテムは分けてある。来たければ自分で来るだろう。
今回はガリポリ領に直接、転移した。
さすがにまだ昼すぎということでなかなか活気がある。
このままふらっと散策でもしてみたいが今日の目的はダーダネルス領だ。実質的に2箇所同時経営なので片方だけに注力するわけにもいかない。
さっそく、アクィナスとイヴァンを呼び出し状況を確認する。
(アクィナス聞こえる? 真澄だけど今どこ?)
私がそう呼びかけるとすぐに返事があった。
(おはようございます。真澄様。私は今、ガリポリ領主館で執務部屋を作ってもらっています。イヴァンさんにも手伝ってもらってる最中ですよ)
(そっか、じゃあ私も今からガリポリ領主館に行くよ。それからダーダネルス領に行こうか)
(はい、ネブラスカ一等執政官も今日はいらっしゃいますよ)
ネブラスカさんもいるのか。それなら尚のこと挨拶をしておかないと。私はガリポリ領主館に続く坂道を早足で歩きながらついでにエミリーにも繋げてみた。
(もしもしエミリー聞こえる? 真澄だよ~来たよ~今、どこ?)
エミリーには長年連れ添った友人のように気軽に内部通信(気)を繋げる。
(もしもし、真澄様。こんにちは。私は今、先行してダーダネルス領に入っていますよ。戻りましょうか?)
(いや、いいよ。現地で合流しようか。こっちはガリポリ領主館に顔を出してネブラスカさんに挨拶したらダーダネル領に転移するよ)
(分かりました。お待ちしております)
エミリーと話をし終わるとちょうど坂道を登り終えガリポリ領主館に着いた。私が何気なく領主館のドアを開けるとそこにはネブラスカさんが悠然と立っていた。
どうやら私が来るのタイミングがばれていたらしく待っていたようだ。
これは前回の意趣返しなのだろうか!?
今度はこちらが不意を突かれたような格好になったが私は気にせず明るい声でネブラスカさんに挨拶をする。
「おはようございます。ネブラスカ一等執政官」
「おはようございます。春日井領主。ようこそガリポリ領へ」
「先触れも出さず押しかけて申し訳ありません。なかなかこちらに来られるのが不規則で」
こんなできる人間に駆け引きをしても無駄だ。私は正直にこちらの事情を説明した。
「いえ、アクィナスから昨日、アクィナスが春日井領主とお会いした時間を聞きました。黒佐賀王も同じように神出鬼没なのでお気になさらず。黒佐賀王は月曜と金曜は比較的1日を通して現れます。それ以外で現れるときは必ず昼間ですな。深夜や朝現れるのは月曜と金曜を除けばほとんど無いと聞いております。春日井領主も同じ理由なのでしょう。異界人という存在はなにかとお忙しいようですな。私も今日から勤務時間を夕方をメインに変えました」
さすが一等執政官の肩書きは伊達じゃないということか。私達のログインパターンをしっかり読んでいるのか。
たぶん、黒佐賀師匠は現実では勤め人。
若干のイレギュラーはあるのだろうが火、水、木の3日勤務、月、金が休みで金、土も仕事なんだろう。仕事の日に深夜や朝、ログインしてこないということは深夜から朝方にかけて仕事をしており、昼間に終わるんじゃないか。
祥君がなかなか会えないってこぼしてた訳だよ。私達、現実世界の人間の動向を完璧に読んで対応できる人材か。
味方にすれば頼もしいけど敵回したら怖すぎるな…
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿も7時を予定しています。
ブックマーク、感想、評価、メッセージなどあればなんでもお待ちしております。
皆様のポチっとが私の創作のイングラム(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。