第147話 黄金気を修得した新米領主の私は副官のアクィナスの歓心を引くために色々努力してみる
「座って待ってるのも時間がもったいないからね。イヴァン君をこっちから迎えに行って早くダーダネルス・ガリポリ領に行こうか!」
私がそう提案すると三重野先輩、エミリーは同意し席をたった。もちろんアクィナスもだ。
流石に座った状態で3対1でお喋りするのはアクィナスも辛いと思っての私なりの配慮だ。さて、どこへ行こうか?
まずは城門に行って聞いてみるか。
大臣室から城門までの間、私は必死にアクィナスに話しかけるが会話が弾まない。こちらが質問すると簡潔に答えてくれるのだがそこで会話も切れてしまうのだ。
アクィナスのことをもっと知り、私のことももっと知ってもらい両者関係を深め、領地経営も上手く運営しようと考えたがやはりそう上手くはいかないようだ。後ろの三重野先輩とエミリーの仲は非常にうまくいっているようで時折、笑い声も聞こえていた。一方、私達のペアは間を持たせようと必死になっている自分の姿だけがあった。
城門に到着すると私が空けた城門の穴の破片は撤去されきれいに片付いていた。内大臣マカートニーと話をしていたのはほんの10分かそこらだったのにその短時間で片付けたのか。
城門は家で言えば玄関口にあたる、玄関が汚れていれば当然、家全体が汚いと思われる。普通は職場の玄関など汚れていても放置しておくものだがよほど意識が高いのだろう。優秀な人材がそろっている。
私が感心して門を眺めていると門番の1人が気を利かせ御用聞きに来てくれる。彼にイヴァンの現在位置を教えてもらい、感謝と城門破壊の件の謝罪を伝え私達は城門を後にした。
「う~ん、自分で門に穴を開けておいてなんだけど、城門の修復も早く行なわれないのかな~皆さんが真面目に働いているからすごく間抜けに見える」
私が1人愚痴るとアクィナスが敏感にそれを拾ってきた。
「あの城門に穴を開けたというのですか、春日井様が!? あの城門にはただ分厚いだけでなく物理障壁も張ってあったんですよ」
「ああ、成り行きでね。私は黄金気を使えるから物理障壁の突破は容易いんだと思う」
私が何気なく答えるとアクィナスはひどく関心したように驚いた。
「黄金気を使えるというのは本当だったのですか。黄金気を使えるのはこのベラスケス大陸では黒佐賀王ただお1人だけと聞いております。全てのカラーオーラを修得した末に一部の天才のみが使える王者の気が黄金気。私は大変な方の側近になってしまったのですね。黒佐賀王の気まぐれとマカートニー内大臣の買いかぶりで私はいきなり出世の道を閉ざされたと思ってたのですがまさか英雄にお仕えすることとなるとはビックリです」
あれ!? 急に態度が砕けた。なるほど、今まではせっかく主席合格したのにいきなり左遷扱いされたからふて腐れていたのか。なら今から仕切り直しだ。
「う~ん、私が使えるのは白気と黄金気だけだよ。たぶん、個人差があるんだよ。私みたいに白気でコツを掴んでいきなり黄金気修得に移る人もいれば段階をちゃんと守って全てのカラーオーラを修得していく人もいるみたいだよ。だからアクィナスも頑張れば黄金気を使えるかもだよ。なんなら、私が教えようか?」
正確にはあの熱血指導についていければ即、黄金気。あんな熱血発動を嫌がるクール系がカラーオーラ全修得なのだろう。アクィナスはクール系に思えるが内なる炎が燃えていえればたぶん黄金気の獲得は容易いのだろう。
「いえ、私は黒佐賀王国の生まれですが気の方はからっきし駄目で。出力が極端に弱いのです。まずは戦闘ができるぐらいの出力を獲得しないと。けれど、一般人でも黄金気が使えるというのは興味深いですね。よろしければお手すきの時、教えて頂けますか」
「OK! 分かった。けど、アクィナスは固いね。黄金気修得には気持ちの柔らかさもいるんだよ。私のことは真澄って呼んでよ」
私は黄金気に関して有ること無いことを適当に教えるとアクィナスは半信半疑で困ったような顔を浮かべ返事をした。
「本当ですか? では今後は真澄様と呼ばせて頂きます」
少しはアクィナスと心の距離が近づいたかな。
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