第146話 黄金気を修得した新米領主の私は副官の表と裏の任官理由を聞いた
「仕事のできる副官を付けろという指示には手こずりましたよ。私と黒佐賀王とでずいぶん悩みました。あくまでも春日井様のお味方になる人物。優秀でありながら私利私欲を肥やさない人物。素人である春日井様の指示を受け入れ、なおかつ意見を言える人物。そこで今年、黒佐賀大学を主席で卒業し、我が国の官吏登用試験を主席合格した才媛の彼女に決めました。黒佐賀大学を主席で卒業したことから頭は切れます。度胸もあります。そして、未だ若く勤務経験がないためどの派閥にも染まらず清廉潔白に仕事のできる人材です。春日井様と歳も近いので気もあうでしょう。まさにパーフェクトな人選でこれ以上の逸材はおりません」
逸材であるのは否定しないが実務経験ゼロっていうのは本当に大丈夫なのだろうか?
いや、実務経験がありすぎるとその人に頼りきりになるからダメか。ちょうど、水無瀬さんみたいなものか。
本当に好意で色のついて無い、いい人材をつけてくれたのかもしれない。感謝せねば。
「アクィナス唯一の弱点は戦闘用の気を持っていないということです。おそらく戦闘になれば一秒で瞬殺されてしまうでしょう。充分、気を使ってやって下さい。したがってイヴァンあたりに彼女の護衛をさせるのがよろしいでしょう。彼の地は先日、黒佐賀王が強引に両領主を更迭したため内部でやや荒れております。領主の館だと言ってもあまり気を抜かないように注意して下さい」
う~ん、祥君由来の領地経営のアイデアだが実際に話を進めるとこういう歪みが出てくるのか。そりゃ、落ち度もなく経営してていきなり更迭されたら内部もガタガタするよな~
しかし、いくら国境線を有しているからといって常時護衛が必要なほど荒れているのは具合が悪いな。早急になんとかしなければ。
そして、アクィナスは戦闘ができないのか。完全な文官だな。私やエミリーが護衛をするっていうのは本末転倒だからイヴァンを貰ったのは本当にいい選択だったんだ。
「既にアクィナスには私の元で最低限度の研修と知識を与えてあります。分からないことがあればなんでもアクィナスにお頼り下さい。と言っても春日井様は黒佐賀王と同じ異界人の冒険者。自ら進んで領地をお求めになったのです。既にご自身で人材もそろえていらっしゃるようですし、あまり世話を焼きすぎるのも失礼ですね。むしろ、我々もあなたに負けないような統治を行なわねば足元をすくわれるかもしれません」
まずい、完全に勘違いしてすごい人認定されてる。私はずぶのど素人なんです! もっとアドバイスを!! もっと援助を!!!
「アクィナス、あなたの存在が我が黒佐賀王国の希望です。春日井独立領が完成し、黒佐賀王国との国力が逆転したら私はあなたに土下座をしてでも縋ります。身を捨てて春日井様にお使えし信頼を勝ち取りなさい」
おい! そういうことはバックヤードか私がいないところでやれ。なんだよ、春日井独立領って!
「それでは春日井様、私はこれにて。回数制限はありますが黒佐賀王国内限定の転移アイテムを10人分用意しておきました。まだ、日も高い、今から転移すればダーダネルス・ガリポリの領地を散策することもできるでしょう。アクィナス! 励めよ!」
そう言うとマカートニーは部屋から出て行った。
「えっと、アクィナスだっけ? 改めて名乗るけど私は春日井真澄。よろしくお願いしますね」
そういえば、年上の部下ってポジションの人としゃべるのは初めてだ。言葉使いはこれでいいのだろうか!?
「こっちは三重野明日香さん。私が個人的に雇った人材になるのかな。そして、こっちがエミリー・アブストラクト・エクシード。エクシード王国のお姫様なんだよ。訳あって私の領地経営に力を貸してくれるみたいだよ」
私が2人を紹介するとアクィナスはカチコチになって挨拶していた。どうやら緊張しているのは向こうも同じらしい。
エミリーなど私が三重野先輩の方を先を紹介したから頬を膨らませて拗ねてるぐらい余裕しゃくしゃくなのに。
読んで頂きありがとうございました。明日は休みですがたぶん、朝7時投稿でいくと思います。
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