第142話 黄金気を修得した新米領主の私は王都ブーランジュでなぜか門番と戦闘をする
激昂した門番は剣を抜き私に勝負を挑んでくる。それを見た他の門番達はあっちゃ~っと顔をし顔に手を当てている者、やれやれという顔をしている者、どう止めようか迷っている者等反応は様々だ。
しかし、大方の予想は剣を抜いた時点で私達が去ると思っていたのだろう。誰も止める気配が無い。
私はバイトに出たり、部活に出たり、勉強をしたりと忙しいのだ。悠長に馬車を拾って出直すなんて時間は無い。しかも、どうせ顔を覚えられただろう。とっとと決闘を受けて入城することにした。
「分かりました。挑戦はお受けします。私が勝ったら城の責任者に取り次いで下さい。但し、こちらの女性は戦闘力ゼロの一般人です。決して攻撃なさらないようにお願いします。それと念のために言っておくと、私はフォリー・フィリクション・フロックとかいう盗賊団の仲間ではありませんよ。」
激昂した門番は私の言葉を無視したがさっき話しをしていた門番は大きく頷いた。
「先輩は向こうの門番さんの方に行ってて下さい。言葉使いは荒いですがこの門番よりましでしょう」
私がそう言うと先輩は素直に従ってくれた。戦闘の余波で先輩が死んでしまうことが一番心配だった。
それなら、あちらの陣営に預かってもらったほうがこちらに敵意がないことが伝わりさらに戦闘の余波から守ってくれ一石二鳥だろうと考えてのことだ。今の私では誰かを守りながらの戦闘は無理だ。
激昂した門番は【黒気】を纏って準備万端といった様子だ。
「いくぞ!」
門番は大振りな一撃を放つがが私は華麗に避ける。地面が大きく削れる。うん!? 膂力でもない。武器本体の力でもない。【黒気】だけの効果でもない。だとすればこれが【剣気】か。
「もしかして、【黒気】と【剣気】、両方使えるですか?」
戦闘中にも関わらず暢気に敵の性能について尋ねてみた。
なんというか、レベル的には遥か格上なのに焦りが一向に沸いてこないのだ。気はすごいがエクシード流なんかとも違い、流派のないただの剣撃だ。
当てるための技術ができていないといったところか。これならよく切れる剣程度にしか思えない。ソードパープルヒュドラより下だし、エクシードの門番のフレディックぐらいなんじゃないか。
「ふん、腐っても【白気】の使い手。その通り、我こそは黒佐賀王の直弟子39名の1人、蒼のティルジットの弟子。その名もイヴァン・カロリングだ。王都王城の門番は最低でも2種類の気を扱うことができるのだ」
そう叫ぶとイヴァンはまた大振りの一撃を今度は横薙ぎに撃ってくる。
私は目を凝らしイヴァンの剣を見るが未だ剣気を知覚することはできない。何合が切り結んでみたがどうしても剣気は見えなかった。やはり修得しないと見えないものなのだろうか。
「どうした、なぜ、攻めてこない! 貴様の【白気】はその程度か」
私が避けてばかりで攻撃しないのを挑発と捕らえてたのだろうイヴァンはイライラしながら言ってきた。
「いやあ、やっぱ【ジョブオーラ】はいいな~羨ましいな~とか、【剣気】は欲しいんでじっくり観察すれば知覚できるかな~と思って。私も2種類の【カラーオーラー】しか使え無いんで。しかも1種類はまだ未完成で発動が不完全だし」
「誰が1種類しか使えないと言った。最低でも2種類と言ったはずだぞ。すなわち、こういうことだ」
そう叫ぶと青色のオーラがイヴァンの身体を包み込む。青と黒の二重色のオーラだ。青のオーラを纏ったイヴァンの速度は先ほどまでとは桁違いだ。青のオーラ、【青気】はスピードアップに特化したオーラなのか!?
「道理は弁えてはいるようだが頭が悪いな。切り札を温存したまま死んでいけ」
私がイヴァンの姿を知覚した時には既に彼の殺傷圏内に入っていた。先程までの余裕などもはやどこにも無い。全力で防御しないと死ぬ!
イヴァンの斬撃線に両手を入れ【白気】を全開にして防御する。その瞬間、私の身体を黄金色のオーラが包み込む。黄金気を使い全力で防御するとイヴァンの剣は根元からポッキリと折れた。
「なっ、【黄金気】だと!? 」
「あれ!? 発動した。やっぱ、できるという絶対的な確信とか死の恐怖を感じないと発動できないのか」
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