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ゲームで人を殺してなぜ悪い!? ~私の彼氏はPK(プレイヤーキル)職人~  作者: ネガメガネ
第3章 若い時の苦労は買ってでもしろと言うが親が貧乏だと背負わなくてもいい苦労をオートで背負い込む
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第141話 黄金気を修得した新米領主の私は着任の挨拶をするために王都ブーランジェへ行く

 翌日の放課後、私は脇目もふらず自宅に直帰し、セカンドワールドオンラインにログインした。

 かねてより約束していた三重野先輩と情報管理局の前で待ち合わせをし、私の転移道具アイテムで第5階層のクロサガ王国のどこかへ下りた。

 いきなり現地へ飛びたいが生憎と私では場所が分からないし、一応、いろいろ便宜も図ってくれたし黒佐賀師匠に話を通しておいたほうがいいかなと思ったためだ。

 そういえば、前回は祥君に大陸につれてきてもらっただけで私は黒佐賀王国の地理を全く知らない。さしあたってはどっちにいけば黒佐賀師匠のいる王都に行けるのだろうか?

 私がオロオロしていると三重野先輩が深いため息をつきながら教えてくれた。


 「ここはベラスケス大陸のクロサガ王国の王都ブーランジュのすぐそばの平野よ。あっちの方角に少し歩けば王都は目の前よ」


 さすがは情報屋。

 おそらく三重野先輩も第5大陸なんて初めて来たはずなのに迷わず教えてくれた。

 いや、私のエージェントになるってことだし事前に地理を調べてくれたのか。これなら直接、ダーダーネルス・ガリポリ領に入ったほうが良かったか? まあ、せっかく王都の喉元まで入ったのだ。

 やはり挨拶をして話を通しておいた方が都合がいいだろう。


 「なにボサっとしてるの? さあ、行くわよ。しっかり警護してね」


 私が方針を間違ったかなと後悔をしていると三重野先輩から声がかかった。

 あっ、そうか。三重野先輩は私より弱いのだ。

 この第5階層でモンスターと遭遇したら私が三重野先輩を守りながら戦わないといけないのだ!? 

 私が領主なのになんでSPまでやってるんだろう…

 今さらそんなことに気付き、周囲を警戒しながらドキドキして歩くとすぐに王都ブーランジェが見えてきた。

 滅茶苦茶、栄えてるんですけど…

 その中央でひときわでかい城があったおそらくあれが王城なのだろう。

 クロサガ王国は国民皆兵。国民全てが気を使える特殊な国だ。

 王都に入るにあたってなにか審査でもされるかと思ったがなんの審査もされず普通に入れた。

 王都ブーランジュは非常になだらかな山状の地形になっているようで全てが坂道だった。

 何区画か歩くと建物が全くないエリアがいくつかあった。そういう場所は王城から同周円状配置されており、地面に鉄のような巨大な壁が埋め込まれているそうだ。

 有事の際は住民の気でこの壁を引き抜き盾とするとのことだ。住民は非常に人懐っこくそんなことをペラペラと教えてくれた。

 軽い登山のような感じになり、私達が王城に到着すると汗びっしょりになっていた。

 よく、見ると馬車とかが普通に走ってる。私達もあれに乗ればよかった。

 さすがに王城の門は閉ざされていた。前には門番が10人ぐらいいた。一番近い門番に話しかける。


 「えっと、黒佐賀師匠に会いにきたんですけど」


 「阿呆か、お前。お前のような汗臭い女に王がお会いされるわけがなかろうが! 高貴な身分の者なら普通は馬車で来るわ。出直してこい」


 年若い門番が躊躇無く即答してきた。

 確かに一介の剣士が王に面会を求めるならちゃんとした手順がいるだろうな。なんか領主の証でも貰っておけばよかったかもしれない。


 「まて、王ではなく師匠とおっしゃられた。この方は非常に穏やかな【白気】を纏っておられる。また、王が在野で稽古をつけられた直弟子様かもしれぬ。無知な田舎者の娘が王都に来ればお師匠様に会えると思ったのやもしれん。そのような言い方をしてはいかん」


 若い門番のつれない態度を見てやや年配の門番がフォローする。

 そのフォローにも悪意が混じっているのだが…

 いや、悪意ではなく王都の王城の門番であることに心底誇りを抱いているのか。だから地方を馬鹿にしてしまう。王都と地方に教育の格差が広がっているのかな? そんな雰囲気が感じられた。


 「黙っていれば、無礼な。こちらの春日井様はダーダネルス・ガリポリの新領主様だ。今日は着任の挨拶に来られたのだ。お前達の判断など聞いておらん。さっさと取り次げ馬鹿者」


 領主である私が門番に好き放題言われて黙っているのを好ましくないと思ったのだろう三重野先輩が門番を一喝した。

 しかし、その一喝がむしろ若い門番の逆鱗に触れてしまったようだ。すごい勢いで私達を罵倒してきた。


 「阿呆め! 黒佐賀王は賢武王と讃えられたお方。いずれの直弟子様も凄まじい力を持ち非常に高潔な人格をお持ちだが黒佐賀王は決してお弟子様を政治に関わらせておられぬのだ。誰に強制されたわけでもなく政軍分離を行なっているからこそ賢武王なのだ。今の一言で化けの皮が剥がれたわ。それほど白気を持ちながら領主を語り、王の弟子を語る偽者め。巷を騒がせている盗賊団フォリー・フィリクション・フロックの一味だろう。気を用いて盗みを働くなど我が国の住人の風上にもおけぬやつ。気を悪用するものをオレは断じてさぬ。今、この場で処断してくれる」


 やれやれ、第5階層におりて上手く戦闘を避けれたと思ったのに。モンスターではなく人と戦う羽目になるとは…


 読んで頂きありがとうございました。明日も7時投稿でいく予定です。よろしくお願いします。

 ブックマーク、感想、評価、メッセージなどあればなんでもお待ちしております。

 皆様のポチっとが私の創作の紹興酒ですので何卒よろしくお願いします。

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