第133話 新米領主の領地経営についての心がまえ
ふうむ、バイト、バイトどうしようかな…
とりあえず、フリーペーパーをもらってみたがどれもイマイチだ。
拘束時間が長かったり、休みが取れなかったり。当座の貯金を作っておきたいだけだからな~給料は安くてもいいんだができるだけ短時間の数日で助っ人的なやつがいいのだが。
ずっとフリーペーパーに向かってにらめっこしていると教室の隅から私に声がかかる。
「春日井いるかな?」
おや、三重野先輩だ。先日、第2新聞部の活動には協力し予算申請ともっと広い部屋の申請はしておいたが…
「三重野先輩、どうかしましたか?」
「いや、あっちの世界でメッセージを預かってきてね」
昨日、祥君が紹介したガザネという人もそうだったが情報屋はエージェントを兼ねている人間の方が多いのだろうか。
今までは酒場なんかでマスターが裏家業でやってるイメージがあったが確かに座っていて情報が集まるというのも特異な状況だ。欲しい情報のために自ら動き回り、時に情報を得るために小さな仕事を引き受けて互いに貸し借りをしながらさらなる情報収集をするというのが標準的な姿なのかもしれない。いや、そういえばそんなことを三重野先輩から聞いたんだったか。
三重野先輩からインフィニットステーションの近距離通信でメッセージを受取るとさっそく開封した。
『ダーダネルス領主とガリポリ領主更迭と副官の派遣を完了した。ついてはなるべく早く領地入りしてほしい。黒佐賀』
黒佐賀師匠か。そういえば連絡先を交換していなかった。たった一日でこちらのリアル情報に到達できるエージェントを用意できるとは流石にやるな師匠。
「その歳で領地経営とは恐れいったね」
私が透過モニターに実体化して読んだため、三重野先輩も隣に立って読みちゃかしてくる。
「うわ~冗談だと思っていたが本気だったのか…」
「領地はかなりの一等地だけど国境線上だよ。軍隊の形成もちゃんと準備しとかないとダメだよ。隣はかなり野心的な帝国だからね」
「うわ~いきなりそんな難しいことできるのかな…」
「三重野先輩、領地経営の経験は?」
「ないけど、情報屋としてならアドバイスは可能かな」
「ちょっと手伝ってくれませんか」
「報酬は?」
「無い袖は触れません」
「現地調達の権利くれるならでいいのなら無料で手伝ってもいいよ」
「いいんですか? いや、すみません。やっぱり待って下さい。現地調達ってどういう意味ですか?」
「普通の人間はめんどくさいことを丸投げできたら嬉しいものだけどやけに慎重だね。本当に言ってもいいの~下手に聞いたら欠点が出てきて採用することができなくなるよ~」
三重野先輩が冗談めいた口調で脅しをかけてくる。
「私の下手な決定でそこに住んでいる人みんなに迷惑がかかるなんてごめんじゃないですか! 馬鹿領主でも領主となったからには責任を果たさないと」
私が真面目に答えたことが返って良かったのだろう。三重野先輩は非常にまともに答えてくれた。
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿時間も未定ですがまたなるべく早めに投稿したいです。
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