第130話 黄金気の獲得修了! しかし、あらたな揉め事の予感が・・・
「みごとじゃ春日井。わずか1日で黄金気を修得するとはさすが我輩の弟子じゃ。まだ意図して黄金気を纏えるわけではなさそうじゃが、これなら逆境においては必ず黄金気が発動するじゃろう。あとは技に創意工夫を加え流派春日井を完成させるのじゃ」
黒佐賀が自信満々に修了宣言をする。
「そして、カラーオーラだけが気の全てではない。一刻も早くジョブオーラをマスターするのじゃ」
「ジョブオーラ?」
「左様。剣士の持つ剣気、王の持つ王気、霊体が持つ霊気、妖怪の持つ妖気、神の持つ神気などが有名かの。まあ、霊体や妖怪や神などは厳密に言えば種族気なんじゃろうが…」
黒佐賀は自分の説明に疑問を持ちながらも話を進める。
「しかし、お前さんは規格外か。まずは職業をさっさと決めてしまうことじゃな。いつまでも見習い剣士ではジョブオーラなど永久に身につかん」
祥君や報音寺君とは違い深く悩まないタイプなのだろう。黒佐賀はさっさと話題を変えてこう結んだ。
「そういう意味でいえば、やはり気の鍛錬よりも職業選択、レベル上げ、装備の充実が先決かのう。まあ、もっとセカンドワールドオンラインを楽しむことじゃ。そうすれば勝手にレベルなど上がる。がっはっはっはっ」
こうして黒佐賀との黄金気修得の修行は無事修了した。
◇◆◇
結局、せっかく祥君が迎えにきてくれたのに渚とエミリーは一緒に帰らず修行を継続していくとのことだ。曰く、真澄が黄金気を身につけたのだからせめてカラーオーラぐらいは今日中に修得するとのことだ。
そんなわけで私と祥君は一緒に第1階層まで帰り、祥君が時間が余ったと言い出したので私を家の前まで送ってくれることになった。私の肉体は家のベットで寝ているのに律儀なことだ。
それでも嬉しくなった私はやたらと祥君と会話が弾むのが分かった。学校でも仮想現実の中でもほぼ毎日会ってるいるのに不思議なことだ。それに今日はちょうどRDHという絶好のネタがあったので話が止まらなかった。
私の家まであとわずかな距離となり、いっそ遠回りして帰るかと思いそれを祥君に提案しようと思った時、祥君が急に鋭い声で叱責した。
「ガズナか。こんなところまで何のようだ。真澄さんといる時には現れるなと言っておいたはずだぞ」
祥君が叱責した先には背の低い暗い瞳を持った女性が立っていた。突然、祥君にそう声をかけられて戸惑ったのだろう狼狽しているのがありありと分かった。
「あなたは真澄様!? 気配遮断を使っておられたのですか!? 申し訳ありません。気付きませんでした。初めてお目見え致します。ガズナと申します」
うん!?黄金気を修得したらオートで気配遮断でも修得したのか。あるいはRDHがなにかスキルか加護をくれたのか。実質、神と兄弟弟子になったから【神の妹弟子】の称号でもついたのだろうか!? ガズナが意味の分からない指摘をしてくる。
そしてガズナは最初こそ驚いた様子をしていたがすぐに落ち着きを取り戻しこちらの返事を待ってくれた。
「ガズナさん!?」
私が突然の展開に驚いていると祥君が説明してくれた。
「ああっ、俺専用の奴隷兼情報屋だよ」
「えっ、奴隷!?」
「あくまでもセカンドワールドオンラインの中限定の奴隷契約だよ。奴隷契約というよりはエージェント契約に近いけど。秘書みたいなものだと思ってもらえればいいかな。高位のプレイヤーはみんな持ってるよ」
祥君が私にガズナのことを説明してくれ、その説明が終わるまでガズナは一言も口を聞かずじっと待っていた。
「それで何の用だ?」
ようやく、不機嫌ながらも祥君から話を振られ始めてガズナが口を開いた。
「はっ、ショウ様に指名の依頼PKが入ったため参りました」
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