第124話 急に伝説の裏スキル【気】について教えて言ってもさ、準備できてないよ
「さあ、ショウ! 約束どおり、伝説の裏スキル【気】の修得方法を教えてもらおうか!」
またまたある晴れた日の日曜、渚が鼻息を荒くしながら言った。
今日のメンバーは私、祥君、渚、そして復帰したエミリーだ。エクシード王国でのRDHとの戦闘から数日が経ったがエミリーは今ではすっかり元気になった。
先日など、戦闘の勘を取り戻すために1人で狩りに行ったり、第1階層を散策したりと自由を満喫しているようだ。
そういえば、祥君にエクシード王国との往還アイテムももらったようで最近ではエクシード王国からも人を招いているようだ。最近だとウェストファリアを見かけた。本来なら私の護衛がエミリーの主な仕事だったはずだが最近、なかなか忙しくてレベル上げにも参加できていない。今日は久しぶりの4人集合なのだ。
「わたくしも昨日は非常に楽しみで眠れませんでしたわ」
エミリーも普段より高いテンションで同調する。
ちなみにエミリーは現在もあのホテルで寝泊りしている。近いうちに家を買うそうだ。私達のホームが現実世界にあることを知り、現在の科学技術ではエミリーは現実世界にこれないという旨を説明するとしぶしぶ折れてくれた。
しかし、いずれ自分が現実世界に渡るために異界人の技術者に協力すると言っていた。インフィニットステーションの例もある、技術のブレイクスルーがすすめばエミリーがファーストワールド(現実世界)にくることも可能かもしれない。そのためにはファーストワールドの中での肉体という肉体分身体が必要になるのか…ロボットとかにインストールするのかな!?
「エミリーはともかく、天都笠は真澄さんが勝手に約束しただけでオレが約束を履行する義務はないんだが…」
「まあまあ、祥君。エクシード王国ではずんぶん渚に世話になったじゃん、ここは私に免じてどうか、お願い!」
私が合掌して頼みこむとさすがに折れてくれた。
「まあ、いいか…どうせオレが教えるんじゃないし…」
祥君は皆で狩りでもしてレベル上げをするつもりだったらしく、行動プランを決めかねている。
「視気薬は切れたし黒佐賀に頼むしかないよな…さて、問題はあいつがちゃんと拠点にいるかどうかだ…連絡先とかは知らないし…」
ようやく行動プランが決まったようだ。発表されたプランは私達にも馴染みのある階層のものだった。
「じゃあ、第5階層に移動するか…オーラマイスターにして王、そして、薬剤師でもある黒佐賀篤のところへ」
「黒佐賀篤、聞いたことがあります。我がエクシード王国より海を渡ってさらに北方、ベラスケス大陸の一国ですね。圧政を強いていた王を素手で捻り殺し、そのまま玉座についたという。なるほどプレイヤーだったのですか…ベラスケス大陸は非常に争いが多く、頻繁に戦争が発生し領土争いばかりをしていると聞きます。そんな中で黒佐賀が王についてからは守りに特化し武器の開発をやめ、肉体の強化に努め、徴兵制を持って国民全員を兵にしたとのこと。なるほど、国民全員が気を修得していたから強いのですが…我がエクシードも気の修得を義務にすればさらなる富国強兵が成るかもしれない…」
エミリーが分析を行いながら物騒なことを言う。最近のエミリーはあらゆる物事に野心的なのだ。現実世界の肉体分身体のことといい、エクシード王国の全国民の気の取得の件といい、あらゆる物事に前向きなのだ。これがNPCの枷を外れ自由意志もった人間の証左なのかな。よく考えたら彼女、プレイヤーの操作ももう受け付けないから一種の情報生命体だよな。
「まあ、国民全員が戦闘用とも限らないが、あいつは大分変わった奴で、まあ、会ってみると分かると思うけどクエストで王を殺した訳ではなく、本当に義憤に駆られて殺したっていうプレイヤーなんだ。だから、あいつ自身のカリスマで国を治めてるんだよ。本人はその国に縛られて身動きが取れないし廃人でもないのによく現実生活と仮想現実をバランスとって生活してるよ。まあ、そのせいで会いに行っても空振りの時が多いんだ」
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