第123話 RDHは神々が集まる会議はもっと厳かなものだと思っていたが実際はまるで違っていた。
「ならば仕方が無い、別の議題に移ろう」
ややしょげたような雰囲気でゾーンバーグが議題を変える。
というか、いいのか!? そんなに簡単に議題を変えて!
RDHは心の中で突っ込んだ。
先程の議題は初参加ながらもとても重大な議題に思えたのだが。
RDHは今まで自分達【侵攻派】は異界人との戦争も辞さずの考えで行動する過激派だと思っていたが実態はずいぶん違うと思い知った。
【共存派】に対しては戒律を破ってでも敵対し【侵攻派】の意を通すべしと考えていたが今では【侵攻派】の一人相撲なのではないかと思えてきた。
そしてゾーンバーグへの評価がみるみる下がっていった。
自分の上役であるゲティスバーグのさらに上の神として面識こそなかったがその勇名を聞いていただけにもっと暴君のイメージがあったが現実がそれを打ち壊していく。
「エミリー・アブストラクト・エクシードの覚醒についてだ。彼女の覚醒についてはイレギュラーな部分が多々あったが最終的に無事、乗り越えることができよかった。問題はあまりにも大々的に創造神が登場し、対応されたせいでエクシード王国一国が半覚醒状態にあることだ。このようなことは今まで無かった。これをどうするかだ」
「すばらしいことじゃないか。覚醒者を集めて街を作るって計画が昔あったじゃん。途中で頓挫してしまったがその実験の続きだと思えばいい」
相も変わらずペロポネソスはのんびりとした様子で即答する。
「それでは異界人の耳目を集めすぎる。消されてしまうぞ」
「その時はその時じゃん。元々、いなかった人間達なんだからいなくなっても誰も困らなじゃないか」
「にべもない…前から思っていたがペロポネソスはもう少し、我らに協力してくれてもいいのではないか…」
「数百年も一緒にいて今さら何を言ってるんだか…」
ペロポネソスは呆れたようにため息をついた。
RDHは自分がゾーンバークに疎まれている理由がようやく分かった。
ぽっと出の自分がペロポネソスに大事に扱われているのが許せないのだろう。
そしてペロポネソスはそんな子供じみた振る舞いをするゾーンバークが気に入らないのだろう。
異世界人のゲームの駒にしかすぎない自分達がなんと人間らしい茶番劇を真剣に演じていることか!
RDHは思わず笑ってしまった。
「むう、レディアス。何を笑っておる」
ゾーンバーグが厳しい顔をRDHに向ける。
「いえ、最上神であるあなた方がまるで人間のように振舞われるのが可笑しくて、つい、私も、もっと人間らしく生きねばダメだなと思い知りました」
「当然のことよ。どれだけ柔軟に人間らしく生きられるかで神の格というものも決まってくるのだ。日々、精進せよ」
ゾーンバーグは厳しい顔を崩さず、さも当然であるかのように答えた。
「はっ! お言葉しかと賜りました。そろそろ、私の役目も終わったと考えますので退室を許可願いたいのですが」
「うむ、許可する。その前にレディアス、ワシの連絡先をやろう。困ったときはいつでも連絡してくるがよかろう」
「あっ、ずるいよ、ゾーンバーグ。レディアスは創造神の連絡先も持ってるんだよ。なら、僕の連絡先も渡しておくよ」
「それとエクシード王国の件もお主にまかせる。どのように発展するかは皆目検討もつかんが、お主も関わった地。神としての本来の役目を果たし、彼の地をより良き方向に導くのじゃ。困ったことがあったらいつでもこの連絡先に連絡してくるがよかろう」
「なるほどね~イレギュラーな発展をする可能性が高いのか~なら僕のところからも人を出そうかな。面白いものが見られるなら動く神も何人かいるだろうし」
「なんだ、やはり人を出せるのではないか! それなら【共存派】からも人を出してもらいまず、第7階層の守りをもっと厚くして異界人の進入をこれ以上阻止してもらいたいのだが」
「だから、面白いものとか興味があるものにしか【共存派】は反応しないって! それに第7階層に下りてくるぐらいの強さを持った異界人なら当然、頭も切れる。共存できるいい対象じゃないか。どうしてそんな人減らしみたいな真似に協力しないといけないのさ!」
2人の最上神の話し声はいつまで経っても途切れることがなかった。
読んで頂きありがとうございました。ようやく次回からようやく真澄さん達のお話です。明日の投稿は朝10時を予定しています。よろしくお願いします。
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