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ゲームで人を殺してなぜ悪い!? ~私の彼氏はPK(プレイヤーキル)職人~  作者: ネガメガネ
第3章 若い時の苦労は買ってでもしろと言うが親が貧乏だと背負わなくてもいい苦労をオートで背負い込む
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第121話 全てのお金を寄付し、我が【全ての人類の永続ログインによる人工解脱教団】入りなさい

 ああっ、苦しい。

 苦しい。

 生きるのが辛い…

 死にたい。

 死にたい。


 私、水無瀬理江みなせりえは悩んでいた。

 苦悶しているというのが正解か。

 仮想世界セカンドワールドオンライン上とはいえ、こんな妙齢の女性が情報管理局の前の階段で学生のように地べたに座って苦しんでいた。


 私をそんな風に見ないでほしい。

 私に話しかけないでほしい。

 独りにしておいてほしい。

 他人に話しかけれると感情曲線に歪みが生じて苦しい。

 息を吸っているだけで苦しい。

 なんの楽しみもない…

 テレビも本もマンガも瞬間の安らぎしか与えない…

 終わったらまた地獄の苦しみが始まる…

 どうせあいつら仕事するのが嫌なんだろう。

 だったら収支なんか気にせずにジャブジャブに人を出勤させろよ。

 私に当たるなよ、支店長に当たれよ。

 全員から愚痴を聞かされる身にもなれよ。

 はあ、また明日も仕事だ。

 ログアウトして眠ったら、また毎日、苦痛の日々が始まる。

 くそう、またメールか。銀行からか。また銀行口座の残高が減ってる。

 1週間前に15万入れたばかりじゃないか。

 今度は妹からメールか、また6万入れろって無理だよ! 

 なんのために働いてんだよ。借金を作るためかよ。

 ああ、もう嫌だ。死にたい。

 明日の準備のために生活費8万下ろしたら残高が2千になった。

 どうすべきか。銀行にはもう残高がないし…まだ、給料日まで3週間ある。

 このままだと来月の家賃が払えない。

 もう嫌だ。メールもやめたい。電話も止めたい。インフィニットステーションを叩き壊したい。

 死のう。けど、死んだら迷惑かかるだろうな…

 目の前でブランド物のスーツを着て情報管理局に入るプレイヤーがいる。

 羨ましい。

 私だってそのぐらい買えるのに。あいつらさえいなければ、幸せに暮らせるのに。他人の行動が恨めしい。

 私のお金でゲラゲラ笑わないでくれ。苦しい。この負の感情を抱く自分の精神が苦しい。


 ログアウトしたら終わる。嫌だ、帰りたくなんかない。私にとってはセカンドワールドオンラインの中の方がよっぽど快適だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。


 「お嬢さん。なにやら苦しそうですね。その苦しみ、わたしが癒してさしあげましょうか」


 私があんまり苦しそうにしているのが目に入ったのだろうか、清潔そうな白一色の服を着た回復術士の女性が私に話しかけてきた。

 プレイヤーだろうか?

 イグナティウスと名乗ったその女性はなんだか甘い香りがした。

 この香りをかいでいるだけで少し不安感が収まった。

 興味は持った私はそれから数時間、イグナティウスの話を聞いた。

 そして、最後にその女性はこう結んだ。


 「お金があるからですよ。お金があるから執着心が発生し、苦しいのです。全てのお金を寄付し、我が【全ての人類の永続ログインによる人工解脱教団】入りなさい。衣食住は無料で提供します。そこで生活すれば、あなたはその苦しみから解放されるでしょう。たとえ今の状況を改善できたとしても現世にいると必ず感染し、また地獄の苦しみを味わいます。食べるものを与え、着るものを提供し、共に迷う人々と共同生活を送り、現世の生活をシャットアウトするのです。そうして、あなたは初めて永久に苦しみを感じることがなくなるのです」


 本当にこの苦しみが消えるのだろうか。

 いや、現に今、なにやら妙に心が落ち着いている。

 私には分かるイグナティウスは嘘は言っていない。

 この苦しみがなくなるならどんなことだってする。

 そうか、私がこんなに苦しんでいたのはお金のせいだったのか。

 衣食住が揃っているならお金なんていらないじゃないか。

 お金を儲ける必要がないなら会社に言って糞みたいな愚痴を聞く必要も糞みたいな仕事をする必要もない。

 そうだ、この人の言う通りだ。

 ここを乗り切れたとしても根本を断たねば、、また、この苦しみを味わうはめになるじゃないか。

 お金だけを無心して私を苦しめる家族なんていらないじゃないか。

 そうだそうだ、これほど時代が進歩しているのにどうして今まで、現実世界オフラインに拘っていたんだろう。

 ずっとセカンドワールドオンラインにいることが私の夢だったじゃないか…

 イグナティウスが『続きはまた今度』と席を立った時、気がつけば私は縋り付くように彼女の腕を掴んで懇願していた。


 「お願いします。私をあなたの【全ての人類の永続ログインによる人工解脱教団】に入教させて下さい」


 私にはもうその道を選ぶしか無かったのだから…


読んで頂きありがとうございました。いよいよ第3章突入です。第3章からはやや摩擦係数が高いです。さらにどこまで書けるか不明です。とりあえず矢尽きるまで戦うつもりですがいきなりポキンと折れるかもです。土台作りはでき後は自由に動かせる夢のような状態なのでガンバリたいです。明日の投稿時間は一応8時を予定しています。

 ブックマーク、感想、評価、メッセージなどあれば何でもお待ちしております。皆様のポチっとが私の創作のウオッカですので何卒よろしくお願いします。

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