第120話 エピローグ ワガママで可愛くて意地悪で彼女は最高のNPCで私の大切な友人です
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目が覚めると私はエクシード王城の大礼拝堂の中にいた。先程、仮面の男と交戦した時は気づかなかったが大礼拝堂はところどころ大きな穴が空いたり、瓦礫が散乱している。お気に入りの場所だっただけに早く修繕の手配をしなければ。そう思い身体を起こすと隣に真澄様がいた。
「目が覚めた、エミリー」
相変わらず、とても穏やかでそれでいて意思力に満ち溢れた澄んだ声をしている。わたくしは彼女の声が大好きなのだ。
「はい、真澄様。色々、ご迷惑をおかけしました」
わたくしがそう謝ると彼女はいつものようにとびきりの笑顔で応えてくれた。
「全然、かまわないよ。だってエミリーは私の最高の護衛なんだから」
全てが終わった今、自分の存在についての疑問、世界の成り立ちについての疑問が全て解け、自分の頭が以前より冴えている分かる。だからわたくしは彼女に意地悪な質問をした。
「この世界は異世界人のゲーム盤で、わたくし達はあなた方のゲームの駒なのですね」
真澄様は表情ひとつ変えず答えた。
「ええ、そうよ。だからといって何が変わるという訳でもないけどね」
「わたくしはあなた方の駒、人形ではないのですか?」
私がそう言うと真澄様はほっぺをつねってきた。戦闘の余韻だろうか、軽くつねられただけでやけにズキズキする。
「そんなわけないでしょう。あなた達は人間よ。その成り立ちが異なるだけでね」
そう言う真澄様の顔は悲しみで濁っている。どうしよう、この発言は彼女を悲しませてしまったか。しかし、真澄様は自力で立ち直り悪そうな顔をして宣言した。
「よし、ギルドの目標をひとつ決めたわ! NPCを人間扱いしない全てのプレイヤーを私達がPKすることにしよう! どうせ、全てのプレイヤーをPKする予定だったからちょうどいいわね。そしてNPCの存在の可能性を見せつけてやろう。NPCのエミリーはこんなに凄いんだぞってね! そのためにもエミリー、もうすこし私達と一緒にいて欲しいの」
それはわたくしの一番好きなキラキラした状態の真澄様だ。わたくしのためにこの目標を作ってくれたのだ。
「それじゃあ目標達成のために早く、レベル400ぐらいになってよ」
突然、ショウ様が真澄様の隣に立って揶揄した。
「えっ、私まだレベル4なんですけど・・・」
ショウ様がそう言うと真澄様は困ったような雰囲気でそう言った。
「大丈夫ですよ、真澄様。真澄様には最強の護衛であるこの私がついていますから」
エミリーが満ち足りたような笑みをしてそう言った。
読んで頂きありがとうございました。少し早いですが投稿してしまいます。
明日の投稿時間は不明ですがなんとか第3章書けるように頑張ります。
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