第109話 私を助けてくれる人達の本気
「雷滅翠嵐劫火炎熱斬!!!」
渚の身体と剣から猛烈な量の炎が出現しRDHを袈裟斬りにしようとしていた。しかし、RDHは切り札の擬似時間転移を攻略されたのに全く焦りの色がなかった。
「シィ!」
そのかけ声と共に右の拳を突き出す。神の拳は切り下ろす瞬間の渚の左手に命中していた。堪らず渚は必殺技を霧散させてしまう。風属性を使い速度も強化されていたはずなのにピンポイントで狙い撃ちしてきた。あれが神の持つスキル【刹那の見切り】か。まさか必殺技発動中の斬撃ですら撃ち落せるとは。これでは威力重視で制御の難しい高難度の必殺技など簡単に迎撃されてしまう。
さらにRDHは左手で渚の腹に触れただけで黄金色に輝き、渚を吹き飛ばす。この攻撃はまさか!? 【気】か。
「普通、お前ほどの強さの神なら戦闘用の別バージョンの身体を使って攻撃力と防御力を上げて襲ってくるのにやたら人間型に拘ると思ったら拳法家だったのか。それに【神気】まで使うとはな」
祥君が私と同じ考えに至ったのかRDHに確認を入れる。
「貴様の持つ、穢れた黒気などではなく、オーラマイスターの持つ【黄金気】のさらにその先、【種族:神】だけが持てる固有スキル【神気】。この力でお前も冥府送ってやろう。異界の殺人鬼よ」
神気こそがRDHの切り札なのだろう。その声は自信に満ち溢れていた。
「生憎と冥府ならディベースと一緒に何度も行ったことがあるんで送られてもすぐに返ってくるさ。なんだ、侵攻派の神だからもう少し賢いと思っていたがその程度か。【種族:神】というだけで【種族:人間】よりもあらゆるパラメーターが上だとでも思っているのか。【気】の持つ可能性を知らない無知な神にオーラマイスターの地獄の特訓で身につけた黒気の味をその身で味あわせてやるぜ」
そう言うと祥君はブラッディーエクスカリバーを振りかぶり黒気を込めた超威力の一撃を放つ。
「冥桜黒鳴撃!」
空間にはブラッディーエクスカリバーに纏った黒気の干渉がありありと波及しその密度の濃さを想像させた。おそらくこれが祥君の黒気を使った切り札の一つなのだろう。
RDHはそれを直視し怖れることなく構えを取り神の拳で迎撃した。
「ア・ラープス・オブ・ブレット!!!」
黄金の光をその拳に纏ったRDHの一撃が祥君のブラッディ・エクスカリバーに直撃する。拳で闇聖剣を折るつもりなのか。
漆黒と黄金の光が激突し立っているのもやっとの状態の中で祥君が叫ぶ。
「報音寺! いつまで回復している!! 援護!!!」
さすがに祥君は一人で神を相手にする気は無くなったらしい。それにしても報音寺君がいるとやたら頼って少し妬けてしまう。
「オレごと撃て」
と思ったらまた、ひどく物騒なことを言ってくる。
「そんなでかいの今のオレには撃てないって」
そう言うと報音寺君は深呼吸をして目をつむると凄まじい技を繰り出してきた。
「ライトニング・ソリッド・ショット×99999」
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