第107話 私を助けてくれるエクシード兵の結論
RDHの周囲を囲んだエクシード兵が次々と倒れていく。得意の擬似時間転移を繰り返し、エクシード兵の攻撃は悉く当たらずみるみる数が減っていく。やはり、一度に攻撃できる人数が限られる人間型の神相手に多勢は意味を成さないのか。
「全兵一時後退。囲みを維持したまま距離を取れ、ワシが動きを止める」
グロスがそう叫びRDHに突っ込む。しかし、当然のことながらその剣は当たらず空を斬る。すぐさま、RDHのカウンターが飛んでくるが流石は剣王、既に幾人ものエクシード兵の攻撃が当たらなかったのを見ておりカウンターを紙一重でかわす。
「イブン! 今じゃあ!!!」
グロスが指示するといつの間に展開していたのか。礼拝堂の天井に祥君に一撃で破れたエクシード十剣の一人狩人イブンが弓を構えた状態でそこにいた。グロスの合図と同時に矢は放たれRDHの頭部をめがけて飛んでいく。
擬似時間転移は連続発動できないのか、RDHは素手で矢をつかみイブンの攻撃を防ぐ。
「化け物が!!!」
あれは私達が戦った門番のフレディックとリトフスクだ。RDHの左右から同時攻撃をしかけようとしている。
「三段斬り改」
「三段斬り改」
2人が同時に技を放ち合計6発の斬撃がまともに入る。しかし、RDHは微動にせずカウンターを放ちフレディックとリトフスクを沈黙させる。
駄目だ。実力が違いすぎる。なんとか様になってるのが剣王グロス一人だけという状態だ。こんな戦いは無謀すぎる。私達、4人に任せて引いてくれとグロスに提案しようとするといつの間にやらウェストファリアがエミリーを担いで近よってきた。
「真澄様、ここは我らに任せて姫様をつれてお逃げ下さい」
「なにやってんの、ウェストファリア。逃げるのはあなたたちだよ。彼らではレベルが違いすぎる。相手は神なんだよ」
「レベル違いは百も承知。ですがこれが軍師ガンバルベエ様の策なのです。わが身を捨てて神に挑み時間を稼ぐ。その間に隙を見て姫様を奪還し真澄様に託してお逃げ頂く。やられるのを承知であえて囲ったのは敵の視界を封じ姫様奪還の隙を作るためです。まんまと成功しました。冷や汗ものです。どうしてこんな大任が私にくるのでしょう。エウクレイデスの教育の賜物ですね。重要な仕事しかこない。さあ、お早く」
私が渋っているのを見てウェストファリアがさらに言葉を足してくる。
「もとより、この部隊は冥竜王討伐のために選ばれたこの国最強の部隊。冥竜王に挑んでいればどうせ死んでいた身です。一度拾った命を返すときが来ただけです。それも姫様を救うという最高の場面です。姫様に救われた命を姫様を救うために捨てる。彼ら全員、納得しています。さあ、お早く」
読んで頂きありがとうございました。一本書いた後で作ったので割りと気持ち的に楽に作れました。
明日の投稿時間はまだ未定ですができるだけ頑張って書きます。
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