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ゲームで人を殺してなぜ悪い!? ~私の彼氏はPK(プレイヤーキル)職人~  作者: ネガメガネ
第2章 早くレベル400ぐらいになってください。えっ、私、まだレベル4なんですけど…
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第103話 私を助けてくれる人の最後の賭け

 剣王の間合いから距離を取り、グロスが攻撃を仕掛けてこないのを確認すると私は報音寺を怒鳴りつけた。 


 「なんのつもりだ、報音寺」


 助けてもらったことへの感謝より決闘を邪魔されたことへの苛立ちの方が強かった。今のは私のミスだ。制御に失敗し自爆しただけだけである。

 ほおっておいてもまた完全回復状態で元に戻るのだ。意味の無い介入である。誰が聞いても不機嫌な声で私は報音寺に詰問した。


 「なかなか危機迫る接戦の連続だったんで見てて楽しかったけど、王城の方でなにか動きがあったみたいだからね。そろそろ、決めてよ」


 気安い感じの声で言ってきているがあの目はこちらの決闘に介入する気だ。冗談ではない。これは剣王と私の決闘なのだ。この場はもはや互いの信念を賭けた剣士としての聖域だ。今さらガンナーの横槍など入れられてたまるものか。


 「助けなど不要だ。気になるなら独りで行け。私も直に追いつく」


 私は報音寺を威嚇するように吼えた。


 「そういう訳にもいかないんだよね。また、真澄さんに怒られそうだろう」


 やはり、これしきの威嚇ではビクともせんか。相手は私よりもレベルが上なのだ。ならば、報音寺のリクエストどおり即行で終わらせるのみ。


 「さっきのはこちら側の手落ちだ。自由に一撃を入れていいぞ」


 剣を地面に突きたて無抵抗のポーズを取り、グロスに許しを請う。先刻の回復の有効、無効をしっかり判別させておかねばどうせグロスもリトライを選ぶだろう。

 この戦いは消耗戦であり、精神戦であり、私と剣王との決闘なのである。余計な負債は返却しておきたかった。


 「不要です。どうせまた元通りに戻るのです。それよりなぜこのような無謀な決闘を継続できるのですか?」


 ここ数回、口を開くことも無かったグロスが私の剣士としての在り方を見て思わず問うてきた。


 「なんども言わせるな。エミリーのためだ。実力に劣る私が剣王おまえに勝つには消耗戦に持ち込むしか他に手がなかった」


 「姫様のためですか・・・幾度の死を乗り越え、それでも尚、実力に優る私に挑む。それでは私が姫様のために戦う理由とは一体・・・」


 グロスが額に手を当て苦悶している。今の借りの分だ、助けてやろう。そう思いグロスに声をかける。


 「どうした、剣王?まさか剣にて語ることを諦めたのか?」


 「まさか。所詮、私は剣でしか生きられない男。何に裏切られても剣に生きるより他、生きる術を知らんのです」


 そう呟くとグロスは幽鬼のような足取りで私に斬りかかってきた。

 己の信念の中でしか生きられぬとは哀れなやつだ。それともこれがNPCの限界なのか。私の選択が正しいと理解できたなら私に道を譲ればいいものを。


 「ベイルカード【不倒を体現せし者への賛歌】発動」


 私は戦闘序盤。起死回生の一手打っていた。それがベイルカード【不倒を体現せし者への賛歌】!

 発動条件はこのカードの前で不倒を表現すればいい。発動条件が曖昧でどの程度までやれば発動できるかが解明されてないので普通の戦闘では使い辛いカードだが今の私なら必ず発動するという自信があった。効果は全ステータスの30パーセントアップ。

 そして見事、発動成功。

 これだけの魔法量があれば三重付与の制御もなんとか成功できる。


 「雷滅翠嵐劫火炎熱斬!」


 最後はあっけないものだった。三重付与の超高威力の剣と真正面から勝負したグロスは力負けし、剣ごと防御の上から私の奥義を喰らった。そして、リトライを選択することもなくあっさりとリザインを選択していた。彼が自分の選択より私の選択の方が正しいと認めた瞬間、勝負はついていたのだ。信念のない剣王など、ただの高位剣士にすぎないのだから。


読んで頂きありがとうございました。明日の投稿は11時を予定しています。

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