第100話 私を助けてくれる人が神を相手に使った奥義
真澄さんの言葉にかすかに反応していたエミリーが今では激しく反応している。
ふふっ、びびってるなエミリー。自分の全生涯をかけて倒そうし、そして倒しきれなかった相手だ。こいつを見て平静でいられる訳が無いだろう。しかし驚くのはまだ早い。この閉鎖空間ではディベースの能力を万全には使えん。というかよくこの礼拝堂の中に納まったなディベース。もはや肉体が無い身だからサイズを自動補正したのか。さすがオレの愛竜だ。よしやるぞ、ディベース。そうディベースに念じると彼も咆哮で返してくれた。
「冥竜王合一!」
そう叫ぶと召喚された冥竜王ディベースの身体が煙のように変化しオレの身体に纏わりつく。そして、黒一色だったオレの鎧とインナーが紫が混じった模様へと変化する。
冥竜王との契約はオレに冥力を与えるだけではない。ピンチになったら召喚し力を貸してくれるだけでなく、【合一】しオレの身体のまま冥竜王ディベースの力をそのまま使えるのだ。
当然、全ステータスは元々のオレのステータスに冥竜王の力がそのまま乗る。竜王の筋力と魔法力、攻撃力、防御力が加算され、そして、冥力に対してはほぼ無敵。
そうオレは今、冥竜王ディベースの力をそのまま使えるのだ。
ふふっ、合一したことで一度ゼロになった冥力が身体から湧き出るのを感じる。このモードは冥力を大量消費するから一ヶ月に一度しか使用できないのだ。
ちなみに【冥力】とは【魔法】、【気】、に並ぶ三番目の系統外能力。類似に【法力】とか【理力】、【妖力】、【霊力】、【竜力】などがあると言われている。第3系統外能力は気よりもさらに修得は難しいとされている。
第2系統外の気などはNPCから教えを受けて修得するものがほとんどだか第3系統外能力は敵から学ぶものなのだ。敵を殺さず、生かして、なおかつ心を通じ合わせて始めて修得できるものなのである。特にこの【冥力】に関しては魔王や魔族などプライドの高い種族が多くもつ能力で彼らから学ぶのはオレには困難。力を至上の価値に置く竜からなら倒してしまえば学べると思いクエストを受けたのだ。その中で冥竜王と意気投合し、彼を消滅させるのではなく彼の加護を受けることで【冥力】を使えるようになり、肉体のない竜王族の固有スキル【合一】を教えてもらったのだ。
さて、【合一】は操作が難しくオレの精神にかかる負担も半端ではない。そろそろ殺らせてもらうか。
【冥力】をフル出力で放出し礼拝堂を冥力で満たす。
準備は整った。オレはRDHに向かって駆ける。しかし、残念なことにディベースの【合一】の力もスピードだけは変化が無い。それでも魔法力と黒気をしこたま脚にのせて移動しているから傍から見るとロケット砲のような動きだ。その勢いのままブラディーエクスカリバーで一太刀浴びせる。
威力は強化されているが速度は同じだ。先程の変則転移で易々と避けられる。
だがいまや【合一】したことで今のオレは今までよりもさらに高い次元で【冥力】の操作ができる。もはや、【冥力】はオレの身体の一部のようなもの。礼拝堂に満ちた冥力の動きでどこへ移動したか分る。同じ位置だ。正確には一センチ隣か。やつの変則転移のカラクリが分かった。文字通りの変則転移だったのだ。だがその正体は超精密転移を利用した擬似時間転移。
直撃の瞬間、転移することで一旦この第5階層から姿を消し、攻撃が終わった瞬間元の位置へ戻ってくる。これなら当たるわけがない。これを可能にしているのはいつ攻撃が当たり、いつ攻撃が終了するかという【刹那の見切り】。
ならばこちらは手数で押していき、攻撃に緩急をつけランダム性を乗せていけばいいこと。
「冥桜朧十字蓮撃」
オレがそう叫ぶとシステムアシストによる高速斬撃が始まる。その全てをRDHは超精密転移を使って避ける。所詮、システムアシストによって補正された連続攻撃、奴の目にはオレがどう攻撃するかが見えているのだろう。よって攻撃の途中でシステムアシストをわざと切り、オレの意思を載せた攻撃を放つ。
さすがのやつもこのランダム性にはついていけなかったのだろう。四撃入った。内、一発は命中箇所から四方向十字に冥力が走り、二発目は八方向、三発目は十六方向にそして最後の一発は三十二方向にまるで蓮の花のように冥力が走った。
読んで頂きありがとうございました。とうとう100話です。明日の投稿時間は未定ですがまた、これから頑張って書きます。
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モノグサな自分がここまで書けたのは確実に皆様のおかげです。本当にありがとうございました!