【 君のいない世界。俺中心で回る世界。 】
前回の続き。適☆当です。
最後、中途半端です。
かすれゆく意識の中で、とある声を聞いた気がした。
よく内容は聞き取れなかったが、男の声だった。
「う゛、うぅう~ん…」
頭が痛い。
ズキズキと痛む。
「う゛ぅう…」
ゆるゆると目を開く。
見慣れない天井が目に映る。
段々と、意識がはっきりしてくる。
ガバッと勢いよく起き上がった。
俺、生きてる…!?
辺りを見回すと、高級な家具ばかり。
…どこだ、ここは。
俺が入院していた病院は、こんな高級じゃなかったし、俺の家もこんな高級じゃない。
ちょっと待て。何だこの状況は。どこだここは。
…そういえば、海里はっ!
「海里、海里っ!!」
大声で叫んでみた。
だが、辺りはしん、と静まり返っている。
いない、のか?
どこかへ出かけているのか?
何なんだ、ここは。
分からない、分からない。
頭がグルグルする。
とりあえず、ベッドから降りようとした矢先。
「あぁ、いけません我が主。まだ安静にしていなくては…」
いきなり、スーツで長身のスタイルが良いイケメンなお兄さんが現れた。
「だ、誰だお前は!!」
「…やはり、覚えていらっしゃらないのですね…」
「覚えてるって…何をだよ!」
「あぁ…ですが、ようやく会えました…我が主」
さっきから、意味不明なことばかり…何なんだこいつは!
「俺の問いに答えろ!!」
「仰せのままに。…申し遅れました。私はクルスと申します。貴方様の執事でございます」
「執、事…?」
「ハイ」
…バカ、か?こいつは…。
第一、俺はお坊ちゃまでも何でもない。
人違いじゃないのか?
「人違いではございません、我が主。貴方様は、私の主人でございます」
「いや、だから…俺は平凡な高校生…って心読むな!」
「いいえ、違います。それはあちらの世界での“設定”。我が主の真のお姿は、このイーリアス王国の第一王子、クロード・ストロース様でございます」
「………はぁ?」
あちらの世界?
設定?
イーリアス王国?
第一王子?
……クロード・ストロース!?
「ば、バカじゃねぇの!?!俺は、南第三高校2年、黒川奏弥だ!そ、そんな王子とか…ありえねぇよ!!」
「それが、ありえるのでございます」
「ふ、ふざけんな!!俺は、あそこで、17年間過ごしてきたんだ!俺の出身はあそこで、それ以外のどこでもない!!!」
そうだ。俺は、あの海里とか両親とか友達とかがいる世界で、ずっと過ごしてきたんだ。
俺は、この世界なんか知らない。
「かなりご乱心のようですね。……クロード様」
「あ゛あ!?」
「私にご説明の許可を下さい」
「んなもん勝手にしろ!!」
「ありがとうございます。……それでは、申し上げます。
まず、貴方様は、このイーリアス王国で王子としてお生まれになりました。
ですが、このイーリアス王国を恨んでいた、隣国のオデュッセイア王国がクロード様に呪いをかけ、
クロード様が違う世界でお生まれになってしまったのです。
その違う世界が、先程まで生きてらっしゃった世界です。
そして、王妃様は悲しみの余り、自害をしてしまい、
その後、王様の命により、イーリアス王国とオデュッセイア王国は戦争を起こします。
結果、勝利しました……が、オデュッセイア王国の王が死に際にこう言ったのです。
『お前等の子供は、どうせあちらの世界で早死にする。
死んだ後、またこの世界に戻ってくることになる、が…。
そのときには、お前等イーリアス王国は滅んでいるさ!
そして、そこにのこのこと現れたお前等の子供を、俺の息子が殺してくれる…!絶対にな!!』
と…。
当時私は10歳でした。
その頃からもう、イーリアス王国に勤めていました。
その後…王の予言どおり、イーリアス王国はつ3年前に滅びました。
ですが、私ども執事や使用人が何とか立て直し、
クロード様が帰っていらっしゃるのを待っていた次第でございます。
…お分かりに、なられましたでしょうか?」
唖然、驚愕、呆然。
そんな感情が心を埋め尽くした。
これが作り話だったら、どんなに良いことか。
何故か、嘘だと思うことが出来ないのだ。
本当にあった話のように感じてしまうのは何故だろう。
マインドコントロールされているから?
こいつが、真面目に語るから?
こいつが…泣きそうな顔で語るから?
「…今はまだ…大丈夫です。…じきに、お分かりになられます」
「……に…」
「はい?」
「本当、に…俺は、王子なの、か…?」
「…えぇ」
「海里、は…」
俺の大事な妹は…。
「…いらっしゃいません」
「……そ、ぅ…か…」
いない、のか。
~next~
ね?最後中途半端に終わったでしょ?めんどくさかったんだy((((タヒ




