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明日へと続く物語  作者: カノン
第一章 セントリアの少女
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第4話 家出騒動 (前編)

「お前、自分が何をいってるのかわかってんのか!?」


少年は自分の耳を疑い、もう一度メアリーに聞きなおす


「ええ、大丈夫!あなたの足手まといにはならない程度にはついていけると思います」


「俺が言いたいのは、そういう問題じゃねー!嫁入り前の娘が何寝ぼけた事言ってるんだ、駄目に決まってんだろ!!」


「な、ちょっと待ちなさいよ!!」


メアリーは窓から出て行こうとする少年の両肩をガシッと掴むと、クワッと目を見開いた




「あなた、さっき私を誘拐するとかいったくせにそれはないんじゃない!?」




「………!?」


少年はメアリーの剣幕に思わずたじろいでしまう



「自分の言った事でしょ、責任を取りなさい!!」


「責任取れっていわれても…!あれはお前があまりにも危機感がないから…」



言い訳する少年を、メアリーはじろりと見た



「まさか、さっきの言葉は本気じゃなかったって事!?酷い!よくも私の心をもて遊んでくれたわね!?」



第三者から見れば痴話喧嘩に聞こえるような発言に、少年はギョッとした





第4話『家出騒動(前編)』






「おい、人聞きの悪い事を言うな!俺がいつお前の心を弄んだっていうんだ!?」



「弄んだじゃない!まさかとぼける気!?冗談じゃないわ!」


「だーかーらー」


「だから何!?言いたい事があるならハッキリ言いなさいよ!!」



                       

(このお嬢さん、見た目は大人しそうに見えるのになかなか言うじゃねーか)





少年は心の中でため息をはくとまっすぐメアリーを見て言った




「とにかく、何を言おうと俺はお前を旅には連れて行く気はねーよ!そんなに行きたきゃ自分で行きな!!」



そう言って少年が窓から出ていこうとした瞬間だった



「待ちなさい!」




「ぐえっ、まだ何かあるのかよッ!?」


再びマフラーを引っ張られ、少年はしぶしぶ振り返る


「それが出来ないから旅人さんに頼んでるんじゃない!!」



「ちょ、離せッ!引っ張るなよ!?マジで首が絞まってるって!!」



少年は振り払うようにメアリーからマフラーを引きはがすと、ぜぇぜぇと肩で息をしながら呟いた



「また死ぬかと思ったぜ…とにかく!」


少年は息を整えると、不機嫌そうにメアリーを見た



「何て言おうと俺はお前のような女を連れていくことはねぇ、いい加減諦めなッ」!



少し強めの口調で断られ、メアリーは「う……」っとなるが、負けじと少年を睨み返した



「何よ、別にそんな言い方しなくてもいいじゃないっ!!私はただ、旅に連れていってと言ってるだけなのに!!」



「だから、それが無理だから断ってるんじゃねーかよ!!」



「何でよ!やってみなきゃわからないじゃないっ!?」



「やってみなきゃわからないだと?結果は目に見えてると思うがな!」


「勝手に決めつけないで、私のことをロクに知らない癖に!」




あまりにしつこく食い下がるメアリーに対し、だんだんと腹が立った少年はギロリとメアリーを睨んだ



「いい加減にしろよ…」


「…………!」



突然少年の声と雰囲気ががらりと変わり、今度はメアリーが驚きで目を見開く番だった



「ひとりでいくのは無理だから旅に連れていけだぁ?お前、人任せなのも大概にしろっ!そんな奴と旅をするなんて俺は真っ平ごめんだッ!!」



「………ッ」



きつめの言葉を言い放った後、少年はメアリーの顔色を見てハッとした



(やべ、俺言い過ぎた?)



黙って下を向く少女を見て、少年は少し反省をしていると、メアリーは蚊が鳴くような声で呟いた



「…あなたの言う通りよ、思い返して見ると、私は今まで人任せで生きていたんだと思う」



さっきまでの勢いは何処へ行ったのか、少女の雰囲気が変わり、少年はギクリとする



「今だってそう…ホルビィー様との結婚だって私の問題なのに、あなたまで巻き込もうとしてしまったわね」



「巻き込むつもりだったのかよ…なるほどな、もしお前が家出をしたら親父さんが諦めてくれるかもしれないと思った訳か」



「…………」



黙ってしまうメアリーを見て、少年はため息をはいた



「お前はアホか!?家出をして諦めてくれる程度の話なら、まず家出をする前に親父さんを説得すりゃいいじゃねーか!」



「それが出来たらそうしたいわよ…でも、お父様は今まで私の意見なんて聞いてくれた事ないし」



「じゃあお前は、その親父さんと向き合おうと思った事はねーのかよ?」



「…!」



少年に言われ、メアリーはハッとした



(そういえば私、お父様と向き合う所か逃げてばかりだ…)



「お前は親父さんに嫌だという意志を伝える前に、俺に旅へ連れていけと言ったな!それって自分の楽な方に逃げようとしているだけに見える」



「………………」


「そんな真似をする位だ、俺はお前も親父さんと向き合ってねーように思うぜ!だからよ…」


少年は押し黙るメアリーに言葉を選びながら言った



「お前と親父さんの事情なんざ俺には知ったこっちゃねーが、いい機会なのかもしれないぜ!一度腹を割って話をしてみろよ!本当に娘の事を考えてくれてる親なら、少しは考えてくれるかもしれないぜ!!」



「……考えてくれるかな、私が本気で嫌だといったら」



突然肩をバシンッと叩かれ、メアリーは「痛っ」と言った



「そんなに弱気になってると、伝わるもんも伝わらねーぞ!さっき俺に食ってかかってきたような女だ、お前なら大丈夫だって!!」



この人はお父様のことを知らない


しかも、人の家に勝手に入ってくるような人なのに



何故かこの人が大丈夫だと言って笑ってくれるだけで、本当に勇気が出たような気がした




「旅人さん……」


「あ?」


不思議な人、この人といると普段押し込めていた自分の気持ちが引きだされてしまう



「ありがとう……」



「………………!?」




お礼をいわれ、少年は驚いた顔でメアリーを見た瞬間だった














ドンドンッ



「メアリー、先程部屋から男の声がしたが誰かいるのか!?」



部屋の扉が乱暴に叩かれ、メアリーはギョッとした



「お父様だ!」


「やべ!結構声を出してしまったからな!!んじゃ、俺行くわ」





「あ………」





少年が窓に脚をかけた瞬間、メアリーは思わず引き止めてしまった




「待って!最後にあなたの名前を教えて!?」



きっと二度とこの人とは会えないだろう


けど、何故だか最後に旅人さんの事を知りたいと思ってしまった




「最後にって…もう会うこともない奴のことなんて普通聞くか?まさか俺の名前を聞いて、不審者で訴える気じゃ……」


「そんなんじゃないわよ!私はただ…あッ!?」




気が付くと、そこには旅人さんがいなくて


私は思わず窓から身を乗り出した



「え……!?」



しかし窓の外を見ても、いつもと変わらぬ風景が広がり、旅人の姿が何処にもなかった



「き、消えたッ!?」



嘘……ここ、3階だよね?



メアリーはボー然としていると、風と共に声が聞こえたような気がした



「俺はテッドだ、頑張れよ、メアリー!」










「テッド…さんっていうんだ、あの人」


メアリーはぼんやりと誰もいない窓を眺めていた

第1章で漢字間違いを発見し、訂正させてもらいました!

なるべく注意をして読み返しをしておりますが、読んでいるうちに、漢字間違えやおかしな点がございましたら、お手数かも知れませんが知らせて頂けると助かります(>_<)

また、シビアな感想も是非お待ちしております!!

最後になりましたが、後書きまで読んでくださりありがとうございました!

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