表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
明日へと続く物語  作者: カノン
第四章 忍び寄る魔の手
23/23

第8話 偶然

「お兄さん、凄く格好いいね!ねぇ、これから一緒に飲みに行かない?」


「あのお店なんてどう?物凄くおいしいって評判よ」





(な、何故こんなことになってしまったんだ・・・)




メアリー達が泊まるホテルとはまったく反対方向の繁華街


その真ん中の道ばたで、フウヤはため息をはいた



「す、すまないが今は仕事中だ!遠慮させて貰う!」



そう言ってフウヤは、その場から逃げ出すようにして走り出すと、息を切らせながら悪態を吐いた



「くそ、一体ここは何なんだ!?あの娘、本当にメアリー様達をこの辺りで見たというのか?」



フウヤは先程のヒナの言葉を思いだし、顔に青筋を浮かべながら呟いた



『私、この子知ってる!確か商店街の裏道を抜けた所にある繁華街でみかけたけど』



(もしあの娘の言葉が本当なら、メアリー様はこの辺りに・・・)



フウヤはくるりと振り返り、先程の女性がいてないことを確認した後、ホッと息をつくようにして立ち止まる



(それでは尚更早く彼女を保護しなくては!・・・幸いここは人通りの多い所だ、もしここにメアリー様がおられたのなら、他にも見かけたひとがいるかもしれないしな)



そう思い、「よし!」と気合いを入れたフウヤはふと顔を上げると、いつの間に自分の目の前にいたのか松葉づえをついた綺麗な女性がこちらを向いて妖しく微笑んでいた



「・・・・・?」



その視線を受け、フウヤは「何だ?」と首を傾げると、女性は美しい笑みを浮かべながらゆっくりと近づいてきた



「そこの銀色の髪のお兄さん、少しお話してもよろしいかしら?」










忍びよる魔の手 第8話【偶然】










「・・・で、言いたいことはそれだけか?」


「はい、イオス隊長・・・申し訳ありませんでした」



あれから30分後・・・



そこには眉間にシワを寄せているイオスと、罰が悪そうな顔をして項垂れているフウヤの姿があった



「お前が私情でハメを外したことに関する説教は後だ、それよりここでメアリー様の目撃情報が入ったのは確かなんだな?」



「はい」



力なく返事をするフウヤを見て、イオスは少し考えるように顔をしかめると


「その情報はどこで聞いた?」


と問いかけた


「それは・・・」


フウヤはイオスの問いかけに、酔いが回った頭で必死にさっきの居場所を頭に思い浮かべると



「海から一番近いホテルです」



と答えた





ーーーーー









【その頃】



「・・・全く、余計なことに俺を巻き込みやがって」



あれからホテルに戻る為に、もと来た道を引き返しながらテッドはブツブツと呟いていた



「聖女が棲む村?聞くからにうさんくせー」


テッドはさっきのナースとの会話を思いだし、舌打ちをした


「しかも、アリスと戦ってる間にドクロに繋いだ視神経も切れてしまったし踏んだり蹴ったりだな!何事もなく合流できたらいいんだが・・・」


テッドがそうぼやいたその瞬間だった


「メアリーがどうかしたの?」


「うわッ!?」


突然茂みから金髪の髪の少女が飛び出してきたのが原因で、テッドはびくりと身体を震わせた


「びっくりした・・・何だヒナかよ、こんな所で何をして・・・」


飛び出してきた人物がヒナだとわかった瞬間テッドはほっと息をつくが、その彼女が担いでいる人物を見て更に驚くことになった


「うわ、メアリー!?お前どうして・・・!?」


「一体何があったんだ!?」とヒナに問いかける前に彼女に口を手で塞がれ、テッドは「もがッ」と情けない声をあげる


「話は後、今追われてるから後にして!」



「は?」


ヒナの声でテッドは振り返ると、自分の顔くらいの大きさがある赤黒い蜂が一気に飛び出してきた


その生物を見て驚いたテッドが「ぎゃあ!」と悲鳴をあげたその瞬間だった




「危ない!!」




デスキラーがテッドへ向かって飛び出してきたのを見てヒナは片手で銃を構えると、躊躇いなく銃弾を打ち放った



「ひ・・・」



その銃弾が横髪に掠りテッドは声にならない悲鳴をあげると


「お前!至近距離で・・・危ねーだろーが!?」


と叫んだ


「ごめん、危なかったからつい」


銃弾の痕跡を受け、一部だけこげて黒くなってしまったテッドの髪を見てヒナは罰が悪そうな顔をして謝ると、小さく舌打ちをした



「くそ!メアリーだけじゃなくテッドにまで!!あの野郎・・・一体何を企んでやがる」



「あ?今何か言ったか」



草影から飛び出してくるデスキラーをかわしながらテッドは問いかけると


「ううん、何でもない。只のひとりごと」


と言ってヒナは誤魔化すように笑った


「ボクのひとりごとを気にするより、メアリーが起きる前にこの生き物を片付けておかないとパニックを起こすんじゃないかな?今はデスキラーに集中しようよ」


「・・・そうだな」


ヒナの誤魔化すような言葉にテッドは不審に思いながらも、メアリーを庇うようにしてヒナに背を預けると


「これが終わったら、俺の質問に答えて貰うからな」


と言って不敵に笑った



「上等!それまで絶対メアリーにこいつらを近づけちゃ駄目だよ」


ヒナは銃に再び弾を補充して、挑戦的な表情でテッドを見ると


「君の実力を見せて貰うよ」


と呟いた
























評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ