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明日へと続く物語  作者: カノン
第四章 忍び寄る魔の手
20/23

第5話 悪魔の囁き

「あー、久々に身体を動かしたから疲れた・・・仕事帰りにデスキラーに襲われるとか、マジ最悪!気分直しに甘いものでも食べて帰るか!」




ヒナは海岸沿いを歩いていると、何やら聞き覚えのある声がして「ん?」とその声がする方向を向いた




「そ、そんな!じゃあライタはどうなるのですか!?」

「・・・・・」

「何か言って下さい!ジークさん!?」




(あれ?・・・メアリー?何かあったのかな)




ヒナはメアリーの尋常じゃない様子を見て首を傾げると、ホテルの3階の窓が開いていることに気づく




(たく・・・デスキラーが出たってのになんて物騒な!それにメアリーの様子も気になるし・・・)




ヒナはちらりと玄関を見るとその扉がオートロックだったことを思い出し、ため息をはくと「よし、登るか!」と決心する




「えーっと、ここからなら登れそうかも・・・」




ヒナがそう言ってホテルのパイプに手をかけ、いざ登ろうとしたその時だった




「何をしている?」




「ギャッ!?」




突然後ろから声をかけられヒナは小さく悲鳴をあげてしまう



(やばい、変質者だと間違われた!?早く誤解をとかないと、警察を呼ばれる!?)



ヒナはとりあえず誤解を解こうとあそるおそる振り返ると、そこには銀色の髪を持つ青い瞳の少年が後ろに立っていて、その少年の着ている隊服を見たヒナは更に目を見開いた



(この隊服・・・帝国軍人!?何でこんな所に・・・くそ!メアリーの様子も気になるのに!)



ヒナはそう思いちらりとメアリーがいる方向を見ると、何故か青い顔をしたメアリーと窓越しに目が合った



「?」



そして、慌てた様子で一緒にいた茶髪のホテルマンの腕を引き、部屋の中へと入っていくメアリーを見てヒナは疑問に思っていると「おい、どうかしたのか!?」と少年・・・いや、フウヤに懐中電灯を当てられヒナは眩しさに目を細める




「眩し・・・いや、何でも!ちょっと知り合いがいたから会いに行こうとしただけです!だから決して怪しいものじゃありません!?」




そう言って必死に弁解するヒナを見て、フウヤは目を細めると「怪しいやつに限ってそう言い訳するんだ!まだ子どもとはいえ、不法侵入は犯罪になる!!注意されているうちにやめておけ!!」と注意をした




「全く・・・とりあえずそこから降りるんだ!話なら後で聞いてやる」




(げ・・・これって説教される感じ!?冗談じゃない!?)




ヒナはどうにかしてその場から逃げようと必死に策を練っている内に、フウヤは更にヒナとの距離を詰めてきて、至近距離で目があったそのときだ




「・・・・・」


「・・・・・・・・・あの、人の顔じろじろ見て一体何ですか?」




まるで時が止まったかのようにフウヤに見つめられヒナは首を傾けてると、フウヤは「お前・・・」と口を開く



一体何を言われるのか、とヒナはじろりとフウヤを見返したその時だった





「お前・・・どこかで会ったことはないか?」




「・・・・・は?」





「突然何を言い出すんだ」とヒナはため息をはき、未だ自分の顔を凝視してくるフウヤに向かって


「あの・・・ナンパですか?それならボク、いいスポット知ってるのでよそでやって下さい」


と言うと、するりとフウヤの横をすり抜けた




「な・・・!違う、そうじゃない!?君こそ、一体何を言いだすんだ!?」




ヒナの言葉に動揺していたせいか、あっさり自分の背後へと移動した少女を見てフウヤは目を見開くと「待て、話は終わってない!逃げるな!?」と叫ぶ




「・・・何ですか?」




ヒナは(これ以上、無駄な話をするようなら逃げるか・・・)とため息をはくと、フウヤは「さっきは悪かった・・・それよりこの写真を見てくれ」と懐から写真を取り出してヒナに見せた




「この少女を探しているのだが、情報によるとこの街のどこかにいるらしい・・・見かけなかっただろうか?」



(・・・人探しですか、それはたいそうご苦労なこった)



フウヤに言われ、ヒナはしぶしぶその写真を見た瞬間目を見開いた



(メアリー!?)



ヒナは思わずその写真の人物の名前を呼びそうになるが、フウヤが腰にさしてある刀がちらりと見えて、慌てて口を閉ざした



「知っているようだな」



ヒナの様子を見てフウヤは目を細めると、「見たのはこの街か?」と問いかけてきた



「・・・・・・ッ!」



ヒナはさっきのメアリーの様子を思い出す




(そうか、メアリーが慌てて部屋に入っていったのはこういうことか!?)




ヒナはフウヤの腰にさしてある刀と、先ほどの尋常じゃない慌て方をしたメアリーの態度を思い出し、ごくりと唾を飲み込むと「教えてもいいけど、何でその子を探しているのか聞かせてくれない?」とフウヤに尋ねた




「・・・悪いが任務上の話、この件については話すことができない!だが、何故そのような事を聞く!?」




(ふーん・・・)




ヒナはフウヤの言葉に目を細めると「極秘任務・・・て訳か」と呟くとにっこり笑う




「いや、ただ気になっただけ!それより軍人さんはこの子を何処で見かけたか知りたいっていってたよね」



「!?」




その言葉を聞き、大きく反応を見せるフウヤを見て、ヒナは不敵な笑みを浮かべると「あっちだよ・・・」と言ってその方向を指さした








【第5話 悪魔の囁き】








「・・・なあアリス、お前の隊長は本当にデスキラーの毒をなんとかできんのか?」


「しつこいわね、老け顔!さっきから出来るっていってるじゃない!?」




もうとっくに面会時間を過ぎている病室で、ぼーぜんとしているライタをよそに、テッドとアリスは口論をしていると、ライタは「なんとか出来る・・・か」と口を開く




「!?」




ライタの言葉に目を見開くテッドとは対象に、アリスはにやりと笑うと「さあ、ライタさん・・・私を選んで?」と手を差し伸べ、ライタへと近づいた




「・・・・・」




その様子を見たテッドはぐっと唇を噛み締めると「畜生・・・」と悪態をつく




(俺達にはこいつを助けてやれる力もねーから、文句はいえねぇ・・・だが、こいつの言ってる話も根拠があるわけじゃねーだろ!!)




おそらくライタはこの案に乗る・・・!もし自分がこの立場になれば、間違いなくアリスの手を取り生きる道を選ぶだろう!




(【溺れるものは、藁をも掴む】ってのはまさしくこのことだな・・・だが、こんなヤバそうな女の隊長だろ!?信用していいのか!?)




(くそ、どうすりゃいいんだ・・・)とテッドが拳を握りしめたその時だった













「悪い、テッド!俺は・・・・・どうせ死ぬなら、もう少しあんたたちと旅がしたい」















「「!?」」









ライタの言葉にテッドだけでなく、アリスも目を見開くと「どうして・・・?」と手を震わせた






「どうして!?あたしならあなたを助けてあげれるって言ってるのよ!?どうせ死ぬならって・・・それじゃああたしが嘘をついているようじゃない!?」






わなわなと震えるアリスをライタは冷静に見つめ「確かにお前はやばそうな雰囲気はあるが、嘘をついているとは思わねぇ!」と言うと、アリスは「それなら何故!?」と叫ぶ





「なんでだろうな・・・」






ライタは頑固でどうしようもない幼馴染の事を思い、「でも昔、あいつと約束したんだ・・・」と呟く











-----------------------





『ライタ!』


記憶に残るは、幼かったころの自分と泣いているメアリー・・・


『どうした?』


『ぐす・・・あのね、皆私と遊んでくれないの!【リアンス家の娘】と遊んだら私のお父様に睨まれるって・・・』


『ああ、あのおっさん・・・確かに恐いな』


『ねえ、ライタもいつか私から離れるの!?・・・やだよ、それじゃあ私ひとりぼっちになっちゃう』



『ひとりにしないで・・・』そう泣きつくメアリーの手を握り、俺は約束した



『わかった・・・周りが何て言おうと、俺は決してメアリーを裏切らない!お前が俺を必要としなくなるまで何があっても傍にいる・・・』


『本当?何があっても?』


『ああ、何があってもだ!』


『わかった!ライタを信じる!!』










-----------------








「もうメアリーはそんな約束なんて覚えてないかもしれねーし、今のあいつからすりゃはた迷惑な話かもしれねぇ・・・だがよ」




ライタはふと苦笑したように笑うと、目の前であぜんとしているアリスをまっずぐに見て、きっぱりといい放った




「俺は何があってもあいつを裏切れねぇ!側にいると約束した!・・・それに・・・」




ライタはギロリとアリスを睨み付けると、警戒するように口を開く




「確かにお前は嘘をついてない、目を見りゃわかる!だが、毒を治せるのはお前ではなくて隊長だろ!?」



「!?」



ライタの言葉にアリスは目を見開くが、彼は構わず話を続ける




「お前は俺を助けてくれるつもりでも、隊長の方は何を考えているかもわからねぇ・・・それにさっき言ったよな?【今は戦うつもりはないが、いずれは殺り合うことになる】ってよ」




「!?」




その言葉に、アリスだけではなくテッドも目を見開くと、「あっ!」と声をあげる




「そういやお前、自分の名前を名乗る前にそういってたよな!いきなり唐突な話をしだすからすっかり忘れてたぜ!」



先程から黙って2人の様子を見ていたテッドも、思いだしたように呟くと、警戒するようにアリスを睨み付けた




「確かにそうだよな、敵だとわかっている人間についていく馬鹿いねーよな」




先程、【俺なら迷わずアリスの手をとる】と考えていた人間とは思えない程の切り替わりである!「うんうん」とうなずくテッドにライタは内心で苦笑すると、今度は鋭い瞳でアリスを威抜き、威嚇するような静かな声で言った




「そういうことだ、悪いが俺はあんたについていくつもりはない!それに俺の能力がとうのとか言ってたが、その力を使ってメアリーやテッドを傷付けることになるならなおさらだ」




「・・・何故それを!?」




確信に触れられたのか、その言葉に動揺する少女を見て、ライタは「はったりが通じる相手で良かったぜ」と呟くと、自分が嵌められたことに気付いたアリスは顔を真っ赤にして怒鳴った




「ハッタリ・・・!?だ、騙したわね!?」」





顔を赤くして怒鳴るアリスを見たライタは「お前、ほんっとわかりやすいな・・・」と苦笑すると、覚悟を決めたのか、ぐっと拳を握り締めた






「なるほど、それならなおさら行けねぇなぁ!それにイオスの隊の人間じゃないにせよ、帝国軍人にのこのこついてっちゃ、あいつを裏切ることになる・・・」




「・・・・・」




未だに顔を赤くしてこちらを睨むアリスへお構いなしにライタは口を開き「自分が助かる為に、メアリーとテッドを傷つけることになるのなら・・・」と言って、一瞬ふとさびしそうな表情をする



その後、その表情を隠すようにライタは自嘲したように笑うと「・・・死んだ方がマシだ」と呟いた







(この人・・・本気で言ってる!?)







アリスはライタの真意を確かめる為にじっと水色の瞳でライタを見るが、彼の力強い瞳に思わず唇を噛み締める





「なるほど・・・【彼女】の言う通り、六感能力だけでなく頭も切れるのね!その上度胸もある・・・あの人が貴方を【注意の対象】として見る理由がようやくわかった気がするわ」






自分の死を目の前にした時、大半の人間は絶望に明け暮れ、助かる途があるなら迷わずそれにしがみつくだろう



でも、ライタという少年は違った



自分の死を間近にしつつ今の状況を冷静に判断し、アリスを拒んだのだ



その上はったりをかまし、自分から情報を聞き出したライタにア少し動揺を覚えたアリスは「それに、あなたの瞳には全くの迷いがない・・・死ぬことが怖くないの?」と問いかけると



ライタは「怖ぇよ!」と苦笑した





そして、ライタは再び力強い瞳で「だが俺は自分を信じると約束してくれたメアリーや、俺を知りたいといってくれたテッドを裏切って、嫌われる方が恐い!」と言い放つと




その言葉を聞いたアリスは「・・・ふう」っとため息をはき「・・・・・仕方がない」と呟いた





(これ以上、彼には何を言っても無駄みたいね)





そう思ったアリスは、「さすが【彼女】が目をつけるだけのことはあるわね・・・一筋縄ではいかないか」と言うと、腰にさしてあった刀に手をかける





そして再び放たれるアリスの殺気に、「こいつぁ、やべーな」と呟くと、テッドも自分の刀に手をかけた





「なるほど、力ずくでもライタを連れていくつもりか!・・・勘弁してくれよ、俺は女子供と戦う趣味なんざもっちゃいねーよ」






「あら、意外に優しいのね・・・でも、言ってることと行動が一致しないのは私の気のせいなのかしら?」






警戒するように剣に手をかけるテッドを見て、アリスも「私も、戦いが苦手だからあまりこういうことは避けたかったのだけど・・・」と呟き、すっと手に剣を握ったその瞬間だった・・







「・・・っ!?」







突然テッドの頬から血が伝い、彼らはハッとする



「な、一体何が起こった!?」



テッドはじわりと刺すような頬の痛みに顔を歪めると、いつの間に剣を抜いたのか、アリスの剣には真っ赤な鮮血が伝っていて、その血が自分のものだとわかるまでに少しの間時間がかかった・・・





(こ、こいつ!いつの間に剣を抜いたんだ!?)





ぽたぽたと頬を伝う血をテッドは手で拭い「なるほど、流石帝国軍人の参謀補佐だけのことはあるな」と呟くと、アリスはくすりと笑う



「本当は穏便な話し会いで、事をすましたかったのだけど、仕方がないか・・・悪いけど、私こう見えてかなり短気なの!だから間違えて殺しちゃったらごめんね?」



そう言って笑いかける少女にテッドは悪寒を感じつつ、「ハッ、言ってくれるじゃねーか!あんたこそ、怪我しても知らねーぞ」と憎まれ口を叩くと、ライタを庇うように前に立ち、剣を構えた




「悪いが、本気でやらせてもらうからな!いくぞっ!!」











ーーーーーーーーーーーー



【その頃】





(どうしよう・・・ついジークさんを引っ張って部屋に入れちゃったけど)



メアリーは先程、窓の外で見た光景を思い出すと、顔を真っ青にさせた



(さっきの2人、一瞬見間違えかと思ったけど、ヒナちゃんと、イオスさんの部下のフウヤさんだよね!?)


「あの、大丈夫ですか?」



顔を真っ青にさせるメアリーを気付い、声をかけるジークを見て、メアリーは思う



(ヒナちゃんは、私達の事情を知らない!だからフウヤさんにここの居場所をバラされたら、一緒にいるジークさんにまで迷惑がかかる!)



メアリーはぎゅっと唇を噛み締めると(私の馬鹿、何でジークさんを部屋に入れちゃったの!?)と心の中で嘆いた



(とりあえず、ジークさんを部屋の外に出さないと巻き込まれてしまう!?)



そう思い、メアリーはジークに事情を話そうと口を開いたその瞬間だった




ドンドンッ




「!?」




タイミング悪く扉が叩かれ、メアリーはびくりと肩を震わせる



(どうしよう、間に合わなかった!?)



メアリーは扉が叩かれ動揺しつつも、何とか冷静になろうと頭を捻る



(・・・そういえば、ジークさんはホテルマンだ!部屋の清掃作業をしていたと言えば、ライタの時のように犯人という誤解は免れるはず・・・)



「よし、これで行こう!」とぶつぶつ言いだすメアリーを見て、ジークは「あの・・・メアリーさん?」と言って首を横に傾けると




「一体何が起こっているのでしょうか・・・」




と呟いた









--------------------------------










・・・書きたい場面まで、なかなか話が進まない(泣)

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