【第3章 プロローグ】
あの日、貴方の側にいると誓った
それは遠い日の約束…
第3章【海が見える街】
第1話ープロローグー
くっ、これが限界か…
森の中で少女は木にもたれかかった
このままだとここで野垂れ死ぬか、魔物に殺されるだろう
少女は残りの力をふりしぼって、一歩二歩と歩き出す
諦めては駄目
約束したんだ…
絶対生きる事を諦めない
その為に今、今しなければいけない事はただ一つ
少女は杖がわりにして持っていた長い木の枝で、ひゅっと空気を切った
「いい加減に、姿を見せたらどう?…上手く姿を隠せてるつもりでも、バレてるから」
がさっと草を掻き分ける音に少女は身構えた
魔物か、敵か
それとも……
少女は殺気を放つ
どちらにしろ、ただでやられるものか…
もしあいつなら、道連れにしてでも…
「出てこないならこっちからいくよ」
少女は殺気を出しながら身構えていると草むらから何かが飛び出してきた
「きゅ…きゅうぅ…」
「………え」
少女は飛び出してきた生き物をみてぼーぜんとした
何、この生き物…小さくてまるくてつぶらな瞳でこちらを見ているけど、これって…
「ま…魔物?」
だけど、この魔物から殺気が感じられない
人を襲うようにも見えないし…敵ではなさそうだ
少女は拍子が抜けたようにその場に座り込む
「ったく、紛らわしい!敵だと思って焦ったじゃないか!」
少女はそう言うと、魔物はびくっと身体を強張らせる
その様子を見た少女は、バツの悪そうな顔をした
「いや、そんな怯えなくても………って怒鳴ったからか」
少女は立ち上がると再び木の棒を杖がわりにした
「ごめん、怒鳴って…ボク、もういかなきゃ……ッあ!?」
突然襲いかかる身体の痛みで少女はうずくまる
「ッ…」
少女は歯をぎりっと噛みしめた
こんな痛み、あの時の痛みに比べれば…
「なんの…これしきッ」
少女は立ち上がろうとするが、身体に力が入らず倒れてしまう
ここまで…か
少女は動くことのない身体を動かそうとしたが無駄だった
それにしても全身が痛い
まあ、逃げる時に散々痛めつけられたし当然か
他の仲間は逃げきれたのだろうか…
ボクや彼のようにこうして死んでいかず、どこかに避難できたのだろうか
まだ気掛かりな事はある
死にたくない…
せめて死ぬ前に、約束を果たしたかった
ごめんなさい……
あれから随分と時間が過ぎた
少女は目を閉じていると、誰かに頭をなでられた
「ん、お前…は」
少女は小さく目を開けると先程の魔物が自分の頭をなでていた
まだいたのか、こいつ…ひょっとして私を心配して…
と思った時だった
「この、魔物め!村にのこのこと入りやがって
どこにいきやがったんだ…」
かすかだが、人の声が聞こえた
「あ、あそこにいたぞ…っておい!」
「どうしたんだ、キラ?」
「あそこに人が倒れてるぜ」
「何?」
「しかもひでーけがだ…ほってたら死ぬな、兄貴どうする?」
少年が少女に駆け寄った時には、すでに少女の意識はなかった
カノンです!
最近学校が忙しく、しばらく更新ができませんでしたが、やっと第3章まできました!プロローグで登場した少女は、一体誰なのか!?それは、読んでからのお楽しみです。
ここまで読んで下さりありがとうございました!