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03

彼女の識別コードは「R-ENA-7341-9928」

未発達な天体を巡り、その文明を判定する調査官。それが彼女の役割だった。

この星の言語体系に合わせ、コードの一部から「レナ」という名を抽出して名乗ることにした。


彼女は一人乗り用の小型転送ポッドを軌道上に待機させ、そこから地表へのテレポートを行う予定。

本来、テレポートは人知れず静かに完了するはずだった。


しかし、転送の直後、予期せぬ事態が発生した。

指定した海岸の座標に、たまたまカズヤが通りかかったのだった。

システムの衝突回避プログラムが強制的に発動し、転送座標を緊急修正する。

その結果、彼女は予定していた陸地ではなく、波打ち際の浅瀬へと着地することになった。


「……計算外の事態」


着地した場所は、浅瀬ではあるが海の中、それは彼女にとって最悪の環境だった。

この星の海に含まれる塩分は、彼女の体に極端な機能制限を引き起こす。

水に触れた瞬間から全身の自由が利かなくなり、麻痺したようにその場に倒れ込んだ。


さらに追い打ちをかけるように、軌道上に待機しているポッドが無情な判断を下す。

転送先の成分をスキャンしたポッドのシステムは高濃度の塩分を検知。

生存可能な条件を大幅に外れた環境への着地により対象は死亡したと自動で判定された。


「……帰還手段の喪失を確認」


その結果、ポッドは任務失敗のログを生成し、彼女を置き去りにしたまま自動で母星へと帰還したのだった。


動けない体で彼女は夜空へと遠ざかっていくポッドの微かな光を見送るしかなかった。

自力で海から這い上がることもできず、ただ波に洗われながら機能が停止していくのを待つ。


そんな状況の中、ザブザブと水をかき分ける音が近づいてきた。

もうろうとする意識の向こうに一人の少年が、すぐ側まで歩み寄ってくるのが見えた。

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