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ラジューラの謎

ラジューラの謎


目を覚ますと、カリムは硬い岩の上に横たわっていた。辺りを見渡すと、崩れかけた石柱や古代の彫刻が彼を取り囲んでいることに気づいた。ここは、遺跡だ。しかし、それは誰も知らない場所で、砂に埋もれたまま長い時を経て存在していた。


「まさか…ラジューラが遺跡に導いたのか?」カリムは頭を振り、立ち上がった。耳を澄ますと、低い唸り声が風と共に聞こえてきた。遺跡の奥からは、モルダバイトの輝きがかすかに覗き、その光が生けるものの心を試すかのように揺れた。


一歩を踏み出すたびに、砂が足元で微妙に揺れ、気味の悪い感触が広がった。影獣ラジューラは未だ完全に消滅していなかったのだ。遺跡の中で彼はその存在を保ち、永遠に旅人を迷わせ続ける存在であることを示していた。モルダバイトは魔石として彼の中で輝き、砂の意識をもって周囲を支配し続けた。


カリムは冷静に遺跡を見回した。古代の壁には、ラジューラを称えるような絵が描かれていた。その姿は神格化されており、モルダバイトを核とする影獣が、古代人にとっては畏怖と尊敬の象徴だったことがわかる。突然、彼の背後で砂が動き、低い囁き声が聞こえた。


「帰れ…ここは影の者の眠り場…」


振り返ると、そこにはただ砂の影が揺れただけだった。しかしその一瞬、カリムはモルダバイトの緑の輝きに眼を奪われ、理解した。ラジューラは砂漠の守護者であると同時に、誰も近寄らせない守護霊的存在なのだ。その魔力は、遺跡の記憶と共に永遠に生き続けている。


カリムは一歩後ずさりし、遺跡を後にする決心を固めた。影獣の支配する地、ラジューラの魔力が宿るこの場所は、決して人間の手が及ぶべきものではなかった。

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