表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

374/391

「退却の決断」

輝煌の獅子が誇り高く立ちはだかり、冒険者たちの士気を粉々に打ち砕いた。銀色のたてがみが揺れるたびに、その光は戦士たちの目に恐怖を映し出し、絶望を深めていく。イオスは戦況を見極め、残ったわずかな冒険者たちを守るため、咄嗟の判断を下した。


「退却するぞ!生き延びることが第一だ!」イオスの声が響き、フィリアが驚愕の表情で振り向いた。「今退くの?このままでは全てが無駄に…」彼女の声はかすれ、涙で震えていた。


「ここで死んでは元も子もない。生きて再び挑むんだ!」イオスは傷つきながらも鋭い眼差しを向けた。彼の言葉に、意を決した冒険者たちは残された体力を振り絞り、遺跡の出口へと退却を始めた。


輝煌の獅子は彼らの動きを見逃さなかった。鋭い爪が空を切り裂き、遅れて逃げようとした者たちを容赦なく薙ぎ倒した。そのたてがみは再び血に染まり、輝きは凶悪さを増していった。冒険者たちの苦痛の叫びが響き、仲間たちの命が消えゆく様子がフィリアの胸に深く刻まれた。


しかし、イオスは立ち止まらなかった。足を引きずりながらも、彼は生き残った数名を引き連れ、闇夜の中を駆け抜けた。背後で獅子が再び咆哮を上げ、その声が彼らの恐怖を追い立てた。息を切らしながらようやく遺跡を抜け出したとき、彼らは初めて命の重みを実感した。


「次は必ず…討ち取る…」イオスは振り返り、遠く光る遺跡の影に獅子の鋭い瞳を見つけた。それは、決して忘れられない再戦の誓いとなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ