戦いの予兆、静寂の裂け目
夜空には血のように赤い月が浮かび、冷たい風が大地を切り裂くように吹き抜けていた。遺跡は古の闇に包まれ、冒険者たちの吐息さえも白く立ち昇っていく。集結した53人の冒険者たちは、その息を潜めて、不気味な静寂の中で身を固めていた。リーダーである戦士イオスは、無数の戦闘をくぐり抜けてきた傷だらけの鎧に手をかけ、鋭い眼差しで仲間たちを見渡した。
「今日、我らはこの遺跡を越え、新たな力を手にする。」彼の低く響く声が、冒険者たちの胸に勇気を灯した。剣を握る手には震えがあり、魔法を操る者たちは詠唱の準備を整えている。彼ら全員が、伝説の輝煌の獅子が守ると言われるダイヤモンドを求めていた。その石には無限の力が宿り、手にした者には富と権力が約束されるという。
突如、遺跡の中央にある古代の石碑が鈍い光を放ち始めた。冒険者たちは息をのみ、緊張がさらに高まる。石碑が低くうなりを上げた瞬間、目を貫くような光の柱が天へと立ち昇り、空気が震える。光が消えた瞬間、その中から獅子が現れた。
獅子の銀色のたてがみは月光を反射し、その瞳は無限の知恵と誇りを宿していた。まるで王者が戦場に降り立ったかのようなその姿に、一瞬、冒険者たちは動きを止められた。