「ミブルの盾」
「ミブルの盾」
草原を吹き抜ける風が、草を揺らし、乾いた大地に柔らかな音を残していた。フェルディナンド、ミブル、ルカンの三人は、荒野の道を進み、次の目的地である村へ向かっていた。途中で立ち寄った小さな集落の商人から、かつての騎士が使っていたという古びた盾を安価で手に入れたばかりだった。
フェルディナンドは、その盾をじっと見つめ、微かに笑みを浮かべていた。それを見たミブルが訝しげに眉をひそめ、「おい、こんなボロ盾、何の役に立つっていうんだ?」と問いかけた。
フェルディナンドは盾を彼に差し出し、「持ってみろよ。見た目は古びているが、強靭な作りだ。しかも、伝説の騎士が使っていたという話もある。いざという時、お前を守るかもしれないぞ」と微笑んだ。
「ふん、ただの古物だろ」とぼやきながらも、ミブルはその盾を受け取り、無造作に背負った。彼はフェルディナンドの目利きに一目置いているものの、盾に対してはあまり期待していなかった。
しかし、その期待を裏切るような出来事はすぐに起きた。
それから数日後、三人は森を進んでいる途中で突如、大型の魔物に襲撃された。その魔物は巨大な体躯と鋭い牙を持ち、一撃で人間を粉砕する力を秘めていた。ミブルが盾を構えざるを得ない状況に追い込まれたとき、彼は咄嗟にその古びた盾を振りかざした。
「なんてこった…!」ミブルは驚愕の声を上げた。