表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

350/391

フェルディナンドはうっとりとした目で

彼女を見つめ、「今夜は君が私たちの鍵になる。貴族たちの集まるパーティに潜り込み、彼らと交流を深めることで、価値ある情報を手に入れるんだ」と静かに告げた。


その夜、三人は貴族たちの集まる豪華なパーティへと潜入した。煌めくシャンデリアが天井から垂れ下がり、絢爛たる装飾が辺りを彩っていた。フェルディナンドとミブルはあくまで控えめに振る舞い、主役のルカンが自然と人々の目を引くように仕向けた。


ルカンは慣れない場に少し緊張していたが、ドレスが与える自信と、フェルディナンドの言葉が支えとなり、堂々とした佇まいで貴族たちに微笑みを浮かべた。その微笑みは見る者の心を掴み、彼女の周りには瞬く間に人だかりができた。


フェルディナンドは一歩引いたところで、彼女が話している内容に耳を傾けていた。ルカンは気品のある立ち振る舞いと穏やかな話し方で、自然と貴族たちの信頼を得ていった。その中で、彼らが持つ秘密や、冒険者にとって有益な情報が少しずつ漏れ出していくのが分かった。


「彼女、本当に大したものだな」ミブルがそっと囁いた。


フェルディナンドは小さく頷きながら、「ああ、彼女の存在が今夜の切り札だ」と呟いた。


そして数時間後、ルカンが微笑みを絶やさずに話していた貴族の一人が、そっと耳打ちするようにして彼女に情報を漏らし始めた。伝説の宝が眠ると噂される遺跡の場所、それに挑むために必要な条件──すべてが彼女を通して彼らの耳に届いていた。


パーティが終わりに近づくと、フェルディナンドたちはルカンの側へと戻り、静かにパーティ会場を後にした。夜の静寂が再び三人を包む中、彼らは新たな情報と共に歩き出した。


「このドレスは思った以上に効果があったな」フェルディナンドが満足そうに言うと、ルカンは少し照れくさそうに笑った。


「貴族たちもまんざらでもなさそうだったな。まるで一流の女優のようだったぞ、ルカン」ミブルがからかい交じりに言うと、彼女は少し顔を赤らめながらも、「みんなのおかげよ」と感謝を述べた。


フェルディナンドは彼女を見つめ、「君がこのパーティの成功を導いたんだ。今夜の情報は、これからの冒険の大きな助けとなるだろう」と静かに告げた。その声には仲間への深い信頼と誇りが込められていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ