フェルディナンドは剣の持ち手部分に目を凝らし
その細かな彫刻と刻まれた文字を指でなぞった。「これは何世代も前の王国で作られた伝説の剣だ。今やその王国は滅び去ったが、この剣には、その王国の威光が宿っている」
ルカンが目を見開いて息を呑んだ。「そんな…ただの古びた剣に見えるけど、そんな価値があるの?」
フェルディナンドは頷いた。「ああ、ただの武器として使うには向かないだろうが、これを歴史ある遺物として扱えば、コレクターたちが喉から手が出るほど欲しがるだろう」
彼の言葉に、ミブルもルカンも興奮を抑えきれない様子で顔を見合わせた。彼らにとって、この古びた剣はただの骨董品でしかなかったが、フェルディナンドの鋭い目には、その裏に眠る価値がはっきりと見えていたのだ。
洞窟を抜け、三人は町へ戻り、この剣を適切なバイヤーに売り込む準備を始めた。フェルディナンドは慎重に買い手を選び、ある大貴族の元へと向かった。彼はその貴族の嗜好を事前に調べ上げており、この剣がどれほどの意味を持つかを熱心に語った。
「この剣は、かつての王国が滅びる前に作られた最後の一振り。貴方のような由緒ある方でなければ、その価値を理解しきれないでしょう」
貴族はフェルディナンドの言葉にすっかり魅了され、手に入れるための高額な値をつけた。フェルディナンドは冷静な表情を崩さなかったが、その内心では成功への確信と共に満足感が満ちていた。
貴族との取引を終え、再び路地裏に戻った三人。フェルディナンドは、彼らが手にした重たい金貨の袋を仲間に差し出しながら、静かに微笑んだ。