「一振りの剣」
湿気のこもる洞窟の奥深く、フェルディナンド、ミブル、ルカンの三人はかがんで歩みを進めていた。苔むした壁には、かすかに青白い光が浮かび上がり、不気味な影が揺れている。どこからともなく冷たい風が吹き抜け、三人の肌を刺すように冷やしていた。
「ここは長い間、誰も足を踏み入れていないようだな」ミブルが低く呟く。
ルカンが頷き、慎重に前方を見据えた。「でも、だからこそ価値のあるものが残っているかもしれない」
フェルディナンドは無言で洞窟の奥をじっと見つめ、何かを見つける確信に満ちた目をしていた。しばらく歩を進めると、行き止まりの壁に古びた木箱がぽつりと置かれているのが見えた。彼は慎重にその箱を開け、内部に眠っているものを確かめた。
そこにあったのは、一振りの剣だった。黒ずんだ鞘に収められているその剣は、何百年も放置されていたせいか、少し錆びついていたが、その刃には独特の輝きがあった。
「たかが古い剣じゃないか」ミブルが不満げに眉をひそめる。「錆びついているし、戦闘には使えそうにない」
ルカンも失望の表情を浮かべたが、フェルディナンドだけは黙ったまま、剣を手に取りじっくりと見つめていた。その眼差しはまるで、目の前にある剣の奥に隠された物語を読み解こうとしているかのようだった。
「いや、この剣はただの錆びついた剣じゃない」彼の声は低く、静かな確信に満ちていた。
ミブルが驚いて尋ねた。「どういうことだ?」