別れと旅立ち
別れと旅立ち
しばらくして、精霊たちはリックとウラキの周りを穏やかに漂いながら、再び元の大地に戻る準備を始めた。彼らは自由を得たが、この地に留まり続けることはせず、風と共に、火と共に、土と共に、そして水と共に、それぞれの役割を果たすために帰って行くのだった。
「あなたたちの勇気と優しさを、私たちは忘れない」風の精霊がリックに最後の言葉を送ると、リックは静かに頷き返し、「俺たちも、お前たちが共に戦ってくれたことを忘れない」と誓った。
精霊たちは静かに姿を消し、大地に散らばるようにして、自然の一部として溶け込んでいった。その姿はまるで、彼らが初めからここに存在していなかったかのようにさえ感じられた。しかし、彼らがリックとウラキに遺した温かさと感謝の思いは確かに胸に刻まれ、これからの彼らの道に灯りをともしてくれるに違いない。
リックは再び剣を背にし、仲間たちが待つ方向へと歩き出した。戦いの傷跡が残る大地を踏みしめながら、彼はこの旅が新たな一歩であることを感じ取っていた。
「さあ、行こう。まだ俺たちの冒険は終わっちゃいない」
ウラキも彼に並び、同じ方向を見据えた。「ああ、この地での戦いが終わったとしても、まだ俺たちの歩むべき道は続いている」と、彼は強い決意を込めて答えた。
こうして、リックとウラキは再び歩き始めた。かつて彼らが戦いに来たこの地は、今や静けさと平和に包まれている。しかし、その歩みの中にあるのは、次なる冒険の予感と新たな希望だった。