共闘への一縷の望み
リックは絶望に押しつぶされそうになりながらも、決して諦めなかった。精霊たちが完全に支配されているわけではなく、どこかで彼らも必死に抵抗しているのだと信じたかった。そして、もしその希望の光を取り戻すことができるなら、精霊たちは再び自由を得ることができるに違いない。
「ウラキ、聞いてくれ!」リックは隣で必死に戦っているウラキに向かって叫んだ。「魔石を直接叩くんだ。あれが精霊たちの力を支配している全ての源だ!」
ウラキもその提案を聞き、険しい顔で短く頷いた。「お前がそう言うなら、やってみるしかないな」と、彼は剣を構え直し、リックと共に魔石を掲げるダゴズに向かって進み始めた。彼らの表情には恐れはなかった。仲間たちの未来を守り、精霊を解放するという強い決意が彼らを突き動かしていた。
二人が魔石に近づくと、ダゴズがそれに気づき、不敵な笑みを浮かべた。「無駄だ。精霊たちは魔石に従うしかない。この力の前に、お前たちの小さな意志など無力なのだ」
だが、リックはダゴズの言葉に動じることなく、力強い目で彼を見据えた。「それはお前の思い込みだ。精霊たちはただの操り人形じゃない。俺たちは彼らと共に未来を歩むためにここにいる!」
その言葉にダゴズの顔が一瞬険しくなり、魔石が再び不気味な光を放ち始めた。それと同時に、精霊たちの攻撃は一層激しさを増し、まるで二人を追い払おうとするかのように襲いかかってきた。リックとウラキはその攻撃を必死に避け、再び前進を続ける。
風の精霊が荒れ狂う風を巻き起こし、火の精霊が次々と火球を放つ中で、リックはその風圧を感じながらも、一歩も引かずにダゴズへと向かって進んでいった。彼の心には、ただひとつ、精霊たちを救いたいという強い意志だけが宿っていた。
「ダゴズ!お前の支配はここで終わりだ!」リックが叫び、ウラキもまた、剣を握りしめて一気に突進した。その先には、自由を求める精霊たちと、彼らを操る魔石が静かに脈打っている。
ダゴズは冷たい微笑を浮かべたまま、二人の動きをじっと見つめていた。