精霊の力が立ちはだかる
ダゴズが掲げた魔石は、まるで生きているかのように脈動していた。そこから放たれる黒い光が、精霊たちの身体を覆い、彼らを操っている。火の精霊が冒険者たちに向かって全身から炎を放つと、周囲の空気が一瞬で熱に包まれ、夜空が赤く染まった。
「こいつら…まるで自然そのものが敵になったみたいだ…!」ウラキが険しい顔で呟く。彼もまた剣を構え、火の精霊の攻撃に備えている。
風の精霊が大きな手を掲げると、激しい嵐が巻き起こり、砂が舞い上がって冒険者たちの視界を奪った。強烈な風が彼らを襲い、体勢を崩しそうになる中、リックは必死に剣を握りしめ、仲間たちを守るべく必死にその場に立ち続けた。
「俺たちの敵は精霊じゃない、ダゴズだ…!」リックは心の中で自分を奮い立たせた。彼は精霊たちが本来このような存在ではないと信じていた。精霊たちはかつて、人々と共存し、自然と調和を保っていた。しかし、今はダゴズの魔石によって意志を封じられ、ただの破壊の兵器と化している。
その思いに駆られたリックは、精霊たちに向かって叫んだ。「お前たちの本当の姿を取り戻せ!俺たちに力を貸してくれ!」
しかし、精霊たちの反応は冷たく、その瞳に感情の色は見えなかった。魔石の支配が彼らの意識を完全に覆っているのだ。再び精霊たちが無表情に冒険者たちに襲いかかり、戦場は混沌とした状態に陥っていく。