表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

330/391

「お前は俺を裏切った…」どこかから

誰かの声が響く。ダリオはその声の正体に気づくが、振り返ることもできない。ただ、その声に縛られるように、冷たい汗が彼の背筋を流れ落ちる。


「ここに来るまでに、どれほどの者を犠牲にしてきた?その代償を知っているのか?」また別の声が低く囁き、彼の胸の奥を鋭く突き刺した。石を手に入れたことで、自分がこれまで隠してきた後悔や恐怖が浮かび上がり、それが闇となって彼の心を包んでいるのだ。


やがて、ダリオの内側で何かが砕けるような音がした。その瞬間、彼の体中に冷たい闇が満ち、足元から魂が引き込まれていくような感覚が走る。彼は意識の奥底で叫び声を上げようとするが、その声さえも飲み込まれてしまう。全ての音が遠ざかり、暗闇の奥底へと引きずり込まれていく。


どれほど時間が経ったのか、彼にはわからない。ただ、いつしか冷たい暗闇の中に一人、立ち尽くしている自分に気づく。手にした「ブラックオニキス」の輝きは消え、ただ黒く光を吸い込む闇の塊と化していた。


ダリオは、かすかな意識を取り戻し、薄暗い光景を見上げる。目の前には荒廃した黒市が広がり、彼の足元には倒れ伏す者たちの無数の影が浮かび上がっていた。その光景は、彼が歩んできた道のりそのものであり、彼が手に入れたものの代償を表しているかのようだった。


手の中の「ブラックオニキス」を見つめると、その石が彼に何かを語りかけているかのように微かに脈動していた。だが、その声はもう聞こえず、彼の胸にはただ冷たい闇が残るのみだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ