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ダリオの手の中に収まった「ブラックオニキス」は

、凍えるような冷たさを帯びていた。その冷たさが彼の指先から全身に伝わり、まるでその石が彼の血を凍らせるかのような感覚を呼び起こす。それは一瞬の快感と不安が入り混じる、不思議な感触だった。石を手にした喜びが胸を駆け巡る一方で、背後に広がる闇がさらに深くなったように感じた。


彼はゆっくりと息を整えながら、周囲を見渡した。荒れ果てた黒市には、彼の生き残った証として倒れた者たちの影が重なっている。薄暗い闇がその冷酷な光景を覆い、残された者たちの血の跡が地面に染みこんでいるのが見えた。それは彼の手に入れた石の代償として、彼が背負わなければならない「重み」そのものだった。


「これで終わりなのか…?」ダリオは自問し、その問いに自ら答える術を持たずに石を見つめ続けた。石の冷たい輝きは、彼の心の奥底で響き渡り、微かに彼の疑念を揺るがせている。彼がこの場に来るまでに抱いていた信念や執着、復讐の思いが、この小さな石に全て吸い取られてしまったかのように、彼の心は静まり返っていた。


その時、石の表面が淡く輝き始め、黒市全体に冷たい光を投げかけた。その光は鋭く、まるで彼の内側に潜む影を照らし出そうとしているかのようだった。ダリオはその光に目を細めながら、思わず一歩後ずさる。

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