表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

326/391

その時、ダリオの胸に突然

、これまで抑えてきた疑念が過ぎる。「この石を手に入れた先に、何があるのか?」その問いは、彼の心の奥底に潜んでいたが、今この瞬間になって顔を覗かせた。ここまで戦い抜いてきた理由、それが一体何だったのか。自分自身でもはっきりと答えられない、深い渦のような思いが彼の心を支配する。


そのわずかな隙を見逃さず、男は再び襲いかかってきた。ダリオは反射的に構えを取るが、動きが鈍り、かろうじて攻撃を受け流す。しかし、男の次なる攻撃が彼の脇腹を掠め、鋭い痛みが走る。


「迷ったな、ダリオ。そんな迷いがある限り、お前にこの石はふさわしくない」男は嘲るように笑い、冷酷な一撃を加えようとする。だが、その瞬間、ダリオの目に再び冷たい決意が宿った。彼は自らの胸に浮かんだ疑念を振り払い、この場で命を賭ける理由を思い出したのだ。


「俺には、背負ってきたものがある。それを…ここで証明するために!」ダリオの叫びと共に、彼は再び男に向かって突進する。その一撃には彼のすべての決意と怒りが込められ、闇の中で鋭く光る刃が男の胸元を貫いた。


男は一瞬目を見開き、冷たく笑いを浮かべながら地面に崩れ落ちた。手から「ブラックオニキス」が滑り落ち、その冷たい輝きが闇の中で淡く揺らめいている。ダリオはその石を静かに見つめ、ゆっくりと手を伸ばした。


指先が石に触れた瞬間、彼の胸に新たな重みがのしかかる。だが、その感覚はこれまでとは違い、何か冷たいもので包まれているようだった。果たして、これが彼の求めてきた力なのか――ダリオはその答えを見つけることができず、ただ静かに石を手に取った。


その冷たさが、彼の皮膚を通して魂にまで染み込んでいくようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ