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砕け散る誓い
その場に響くのは、互いの息遣いと剣が交わる金属音だけ。冷たく澄んだ闇の中、ダリオと「コブラの一派」の男は一瞬も目を逸らさずに睨み合っていた。男の手の中で、「ブラックオニキス」が再びその不気味な光を放ち、二人の影を地面に揺らしている。その光がまるで二人の命を嘲笑うかのように淡々と輝いていた。
ダリオは、全身の筋肉を緊張させ、男の次の一手を見逃さないように構えを取っている。冷たい汗が額を伝うが、彼の瞳には一片の迷いもない。手に入れるべきものは目の前にある。しかし、相手もまたその石を手放す気配を微塵も見せない。
「どうした、怖じ気づいたか?」男が挑発的に言葉を投げかけ、唇に薄い笑みを浮かべる。だが、その言葉の裏には隠しきれない苛立ちが滲んでいた。ダリオの冷静さが、男の計算を狂わせているのが手に取るように分かる。挑発に乗ることなく、ダリオはじっと動きを見極めている。