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闇に包まれた黒市の中央で
ダリオと「コブラの一派」の男が静かに向き合っていた。男の手の中で「ブラックオニキス」が闇の中に輝きを放ち、その冷たい光が二人の間に張り詰めた緊張をさらに強くしている。まるで、闇そのものが二人を隔て、互いを拒んでいるかのようだった。
男は静かにダリオを見据え、その口元に薄い笑みを浮かべた。その笑みには嘲りと冷徹な計算が感じられ、彼の瞳には底知れない冷酷さが宿っている。ダリオはその目をじっと見つめ返し、彼が手にする石に向けて全身の神経を集中させていた。
「これが欲しいなら、奪ってみせろ。だが…命の代償は大きいぞ」男が静かに、そして冷たく言い放つ。その声は闇の中で不気味に響き、ダリオの胸の奥深くに刺さった。しかし、彼は揺るぐことなくその場に立ち続け、冷静に次の一手を考えていた。彼の目にはただ「ブラックオニキス」への強い執念が燃え盛り、どんな犠牲を払ってでも手に入れる覚悟が浮かんでいた。