その言葉と共に、男の周囲には次々と冒険者たちが詰め寄り
まるで野獣が餌を取り合うような姿を見せ始めた。彼らは互いを押しのけ、手に持つ武器を振りかざし、必死に石を奪おうとする。しかし、その場には見えない壁があるかのように、一歩踏み込んだ者たちが次々と倒れていった。
ダリオはその様子を冷静に観察していた。彼は群衆の隙を狙って動くべきタイミングを見計らっていたが、その瞬間を見つけることができなかった。彼の周囲には、同じように石を狙う者たちの視線が突き刺さり、一瞬たりとも油断できない状況だったのだ。
ふいに、彼の左側から不意打ちの刃が襲いかかってきた。ダリオは瞬時に体を反転させ、辛うじてその一撃をかわすが、背後には新たな敵が迫っていた。息を切らし、ダリオは自分が包囲されていることに気づく。暗闇の中、無数の目が彼を狙い、彼の命を奪おうとしている。だが、そのような状況にあっても、ダリオの心は決して揺るがない。彼は冷静に呼吸を整え、敵の動きを読み取ろうとしていた。
「やはり、ここでは誰もが敵になるのか…」彼は苦々しく呟き、再びナイフを構え直した。彼の視界には、過去の裏切りや失敗が蘇り、今の自分が進むべき道を思い出させていた。ここで生き残り、石を手に入れることでしか、己の存在を証明することができない。その覚悟が、彼の全身に冷たい決意を宿していた。