価値
異世界の市場を訪れた零たちは、そこが普通の市場とは異なることに気づいた。市場には物々交換の文化があり、金銭ではなく何か価値あるものと引き換えに物を手に入れる仕組みだった。だが、その価値基準が非常に曖昧で、何が高価とされ、何が安価かは全く見当がつかなかった。
「ここでは一体、何を渡せば何を得られるんだ?」零は困惑しながら、出店の一つを見つめた。
すると、一人の店主がにこやかに微笑み、「その指輪を私にくれたら、この魔法のポーションをあげるよ」と言った。
零は驚き、「いや、この指輪は大したものじゃない。ただの装飾品だぞ?」と返すが、店主は笑みを浮かべたまま、「いやいや、その指輪にはあなたの思い出が宿っている。それが価値なのさ。」と答えた。
麻美は不思議そうに、店先に並んだ美しい花を指さし、「この花はどうかしら?」と尋ねると、店主は「その花はあげるよ。あなたの笑顔はそれだけの価値があるからね。」と、さらに意味深な言葉を口にした。
「…なんか、この市場、普通じゃないな。」守田が呆れたように笑いながら、「まあ、異世界だからこういうこともあるか。」と肩をすくめた。
結局、零たちは市場で様々な交換を楽しみながら、得たものの真の価値を学んだのだった。