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シトリン
シトリンは「真実を見抜く石」として知られていた。零が市場で手に入れたそのシトリンを握ると、不思議な感覚が体中を包んだ。その石を持つことで、相手の言葉の裏にある真実が見えるようになるという。試しに麻美と会話をしてみると、彼女の言葉の裏に隠された微妙な感情が透けて見えた。
「本当に強くなったわね」と言う彼女の言葉の裏に、少しの不安や心配が見え隠れしていた。「なるほど、こんな風に見えるのか…」零は感心しながら、その石を大事に持ち続けた。
しかし、その石は時に零を混乱させた。守田の厳しい言葉の裏に隠された優しさが見えた時、零は逆にどう反応すべきか分からなくなったのだ。「真実を知るのも、時には厄介なことだな…」零はシトリンを見つめながら、使い方に悩む日々を過ごすことになった。