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ラピスラズリ
零が手に入れたラピスラズリは、「持ち主にだけ囁く」という力を持つ石だった。しかし、その囁く内容は「靴がちょっと緩いぞ」とか「昨日のスープは塩が少なかっただろ?」というどうでもいいことばかり。
麻美は「役に立たないわね」と笑い、零も「もっと有益なことを教えてくれよ!」と嘆いたが、ラピスラズリは「小さなことが大事なんだ」と真面目に答えるだけだった。最終的に零はこの石をお守りとして持ち歩くことにしたが、石の囁きは日常の小さな指摘ばかりで、少しずつ愛着を持つようになっていった。