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ある日、麻美がみんなのために料理を作ることになった。普段は料理をあまりしない彼女だが、その日はやる気満々だった。
「今日は絶対に美味しいものを作るわ!」と意気込んで台所に立ったものの、材料を揃えるときから何かが違った。異世界の食材は見た目が奇妙で、使い方も分からない。
「この…紫色のキノコって、食べられるのかな?」と悩みながらも、勇気を出して鍋に入れて煮込んでみた。しかし、次第に鍋からもくもくと紫の煙が上がり、部屋中に独特な香りが漂い始めた。
「ちょっと麻美、それは食べ物じゃなくて…魔法の材料だぞ!」守田が慌てて指摘するも、すでに時遅し。鍋の中は不思議な液体に変わっていた。
結局、その日は零が代わりに料理を作り、麻美は「次は絶対成功させる!」と反省しながら宣言した。