表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

167/391

■164

巨大な敵が目の前にそびえ立ち、周囲の大地が震え始めた。

零たちはその圧倒的な存在感に一瞬息を飲むが、すぐに自らを奮い立たせた。

闇の巨人の全身を包む鎧はまるで鋼鉄の塊のように硬く、どんな攻撃も通らないだろうと思わせるほどだ。

そして、その赤い瞳が零たちをじっと見据え、まるで彼らの全てを見透かしているかのようだった。


「さっきの戦いとは桁違いね…この敵は今までの何倍も強力だわ」麻美は、風の結界を強化しながらも、かつてない重圧を感じ取っていた。


「だが、今さら引けないだろう」守田が拳を握りしめ、その青白い光が一層強く輝いた。「これまで俺たちは、どんな敵にも屈せずここまで来たんだ。こいつも必ず倒す!」


零は剣を握りしめ、ゆっくりと一歩前に出た。彼の目には決して揺らぐことのない強い意志が宿っていた。「そうだ…俺たちは何度でも立ち上がれる。どんな絶望的な状況でも、仲間がいる限り俺たちは負けない!」


その言葉に、麻美と守田は力強く頷いた。彼らの間にある信頼は、どんな闇にも負けない強さを持っていた。

そして、敵の赤い瞳が再び光を放ち、その視線が零たちを射抜いた瞬間、大気が不気味に揺らめき始めた。


「来る…!」麻美が声を上げた瞬間、巨人の両腕が動き出した。


まるで山そのものが崩れるかのような圧力が、零たちに襲いかかる。

巨大な剣が大地を引き裂きながら、彼らに向かって振り下ろされた。


「守田、頼む!」零が叫ぶと同時に、守田は全力で拳を振り上げた。


「空間よ、歪め!」守田の拳から放たれた力が空間を捻じ曲げ、巨人の剣の軌道をわずかに逸らした。

剣は零たちを直撃せず、彼らのすぐ脇をかすめて地面に突き刺さった。

その衝撃で大地が裂け、砂煙が舞い上がる。


「すごい…!でもまだ油断しちゃダメよ!」麻美が素早く風の結界を張り直し、次の攻撃に備えた。


だが、その時、零の目には巨人の鎧の隙間に一瞬だけ弱点が見えた。

鋼鉄のような鎧の内側に、一筋の闇が蠢いている。


「そこだ…!」零はその瞬間を逃さず、剣を高く振り上げた。

「行くぞ!これが俺たちの全力だ!」零の剣に炎が纏わりつき、その一撃が巨人の鎧の隙間を目指して放たれた。


剣が触れた瞬間、炎が爆発し、巨人の体内を照らした。

その光景はまるで太陽が闇夜を切り裂くかのような輝きだった。

巨人の鎧が轟音とともに崩れ落ち、内部の闇が露わになった。


「今だ!一気に仕掛ける!」零が叫ぶと、麻美と守田も同時に動き出した。


「風よ、我に力を与え、敵を吹き飛ばせ!」麻美が風の刃を次々と生み出し、巨人の剥き出しになった体に向かって解き放った。無数の刃が巨人の闇を切り裂き、その力を削いでいく。


「俺も行くぜ!」守田が拳を振り下ろし、全力で巨人の核心を打ち抜いた。青白い光が爆発し、巨人の体が揺れ始めた。


「終わりだ…!」零は最後の力を振り絞り、剣を再び振り上げた。「これで決着をつける!」


剣から放たれた炎が再び巨人に直撃し、その巨大な体はついに崩れ落ちた。

周囲の空気が一瞬にして静まり返り、まるで時間が止まったかのように感じられた。


「やった…?」麻美が息を切らしながら呟いた。


しかし、その時――巨人の崩れ落ちた体から、さらに強烈な闇の波動が放たれた。「まだ…終わってない!」零はすぐにそれを察知し、剣を構え直した。


「どういうこと…?」守田も驚愕の表情を浮かべたが、次の瞬間、巨人の残骸が再び動き出した。


「まさか、これが本当の姿なのか…!」麻美が叫び、風の結界を再び強化した。


崩れ落ちた巨人の体が、まるで再生するかのように再び形を取り戻し、闇の核がその中心で脈動していた。

その力は今までとは桁違いで、まるで大地そのものを呑み込もうとしているかのようだった。


「まだ終わってないなら、俺たちもまだやれる…!」零は決して諦めることなく、剣を再び握りしめた。


零たちは最後の力を振り絞り、再び巨大な敵に立ち向かうために動き出した。

その瞳には、どんな困難にも屈しない強い決意が宿っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ